村上系ファンドがレオパレス役員解任請求、株主の役員解任手続について

法務担当者が“法務”を語る新しいWEBメディアはコチラ

はじめに

 レオパレスの大株主である村上系ファンドが臨時株主総会の開催と株主提案を書面で請求していることがわかりました。役員全員の解任を求めているとのことです。今回は株主が会社役員の退任を求める際の手続きの流れを見ていきます。

事案の概要

 報道などによりますと、施工不良問題で揺れるレオパレスの大株主である村上系投資会社レノ(渋谷)は同社に対し臨時株主総会の開催請求と宮尾文也社長ら取締役10人全員の解任を求める株主提案を行っているとのことです。経営陣の刷新により同社の経営の立て直しを図る目的です。これを受け同社の株価は一時11.4%高の392円となっており7ヶ月ぶりの高値を付けました。レノは現在レオパレス株を14.46%保有しており、レオパレス側は内容を慎重に検討するとしています。

株主総会の開催請求

 株主が役員の退任を求める場合、まず考えるのが臨時株主総会の開催です。総株主の議決権の3%の株式を保有する株主は会社に対し臨時株主総会の開催を請求することができます(会社法297条1項)。公開会社の場合は6ヶ月間の保有期間が必要です。開催請求をしたにもかかわらず、会社が遅滞なく招集手続きを行わない場合、または請求日から8週間以内の日を株主総会の開催日とする招集通知が発せられない場合には裁判所の許可を得て株主自身が招集することができます(同4項)。

株主提案権

 臨時株主総会招集を請求しなくても、すでに株主総会の開催が決まっている場合には株主は株主提案を行うことが考えられます。総株主の議決権の1%、または議決権300個以上を保有する株主は議題を追加すること、または既にあげられている議題につき自己の議案の要領を他の株主に通知することを請求できます(303条、305条)。これもやはり公開会社では6ヶ月の保有期間制限があります。これらの提案は株主総会の開催日の8週間前までに行う必要があります。ただし議案については以前にも提案し10%以上の賛成が得られていなかった場合は3年間提案が禁止されます。

役員解任の訴え

 上記株主総会で解任の議案が否決された場合、株主は当該役員の解任の訴えを裁判所に提起することができます。提訴できる株主は総議決権または発行済株式総数の3%以上を保有している株主です。ここでもやはり公開会社では6ヶ月の保有期間制限があります(854条1項、2項)。提訴期間は否決された株主総会の日から30日以内で、対象となる役員と会社が同時に被告となります(855条)。解任事由となるのは「職務の執行に関し不正の行為又は法令若しくは定款に違反」した場合です。通常解任の訴えが提起される場合、同時に対象となる役員は職務執行停止の仮処分がなされ職務執行ができなくなります(民事保全法23条2項)。これにより役員が足りなくなるといった場合には裁判所により職務代行者が選任されることとなります。

コメント

 本件で投資会社レノはレオパレスの株式を14.46%保有している大株主です。上記のように株主提案や臨時株主総会招集請求を行うことも会計帳簿や取締役会議事録の閲覧請求を行うことも可能と言えます。今後8週間以内の日に株主総会が招集されない場合はレノが裁判所の許可を得て自ら招集することも可能です。また解任提案が否決された場合は解任の訴えに移行することも考えられます。このように株主は保有する株式の数によって会社に対して取りうる手段が増加していきます。この株式数は単独で保有しなくても他の株主と合同で行使することも可能とされます。役員の責任追及の声が出てきた場合には株主の株式保有割合などを把握しつつどのような請求や手続きが行われうるかを予め予測して対応していくことが重要と言えるでしょう。

関連業務タグ:,
関連法律タグ:
 
[著者情報] mhayashi

詳細情報はありません。

このニュースに関連するセミナー

商事法務 会社法
《東京会場》2020年の注目すべき法改正と法務トピック
2020年02月25日(火)
13:30 ~ 16:30
22,000円(税込)
東京都港区
講師情報
淵邊 善彦
ベンチャーラボ法律事務所 代表弁護士

1987年 東京大学法学部卒業
1989年 弁護士登録
1995年 ロンドン大学UCL(LL.M.)卒業
2000年よりTMI総合法律事務所にパートナーとして参画
2008年より中央大学ビジネススクール客員講師(13年より同客員教授)
2016年より2018年まで東京大学大学院法学政治学研究科教授
2019年ベンチャーラボ法律事務所開設

主にベンチャー・スタートアップ支援、M&A、国際取引、一般企業法務を取り扱う。

主著として、『業務委託契約書作成のポイント』(共著)、『契約書の見方・つくり方(第2版)』、『ビジネス法律力トレーニング』、『ビジネス常識としての法律(第2版)』(共著)、『シチュエーション別 提携契約の実務(第3版)』(共著)、『会社役員のための法務ハンドブック(第2版)』(共著)などがある。
2020年は改正民法、改正独禁法、働き方改革関連法など重要な法改正が施行され、個人情報保護法などの改正も予定されています。

本セミナーは、これらの法改正の概要とそれがビジネスにどのような影響を与えるかを具体的に解説します。

重要な法改正の動きを俯瞰的に把握するとともに、各法改正が実務に与えるインパクトを理解することにより、社内においてメリハリがついた対応策を検討したり、社内研修を行ったりするための参考にしていただきたいと思います。

また、今年特に話題になりそうな法務トピックを取り上げ、その最新の状況をご紹介し、自社の法務部門の今後を考えるきっかけとしてもご活用いただける内容になっています。
詳細はコチラ (申込は、終了しています。)
※セミナー広告を掲載したい方は、コチラ