コンビニ加盟店ユニオンが提訴、労働組合法の労働者について

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はじめに

セブンイレブンやファミリーマートのフランチャイズ(FC)店主らでつくられた「コンビニ加盟店ユニオン」が店主を「労働者」と認めなかった中央労働委員会の判断の取り消しを求め提訴していたことがわかりました。

国側は争う姿勢とのことです。
今回は労働組合法の定める「労働者」ついて見ていきます。

事案の概要

報道などによりますと、2009年10月頃コンビニ加盟店ユニオンがセブンイレブンに対し団体交渉の申し入れをしたところ、セブンイレブン側は加盟者は労働者に該当せず労使関係にないとして拒否しました。

これに対しユニオン側は翌2010年3月に岡山県労働委員会に救済を申し立て、加盟者は「労働者」である旨の判断がなされたとのことです。
しかしユニオン側の再審申立を受け中央労働委員会は店長は労働者には当たらず、事業者間の問題と見るべきとの判断をしていたとされます。
この判断を不服としてユニオン側は国を相手取り東京地裁に提訴しました。

労働組合法による規制

労働組合法によりますと、使用者は労働者の労働組合の結成や加入を妨げたり、また労働者の代表と団体交渉を行うことを正当な理由なく拒否することは不当労働行為として禁止されております(7条)。

労働者と雇用している側である使用者では立場も交渉力にも大きな格差があり労働条件などについて交渉することは困難と言えます。
そこで労働組合法では「労働者」の労働基本権を具体的に保障しております。

労働組合法の労働者とは

それでは労働組合法によって保護される「労働者」とはどのような者を言うのでしょうか。
労働組合法3条では労働者を「職業の種類を問わず、賃金、給料その他これに準ずる収入によって生活する者をいう」としています。
非常に簡素な規定でこれだけではわかりにくいものと言えます。

厚労省の労使関係法研究会報告書によりますと、交渉力に格差があり契約自由の原則を貫徹しては不当であり、労働組合の集団的な交渉を通じた保護が図られるべき者が幅広く含まれるとしています。
そして以下の判断基準を満たす場合に労働者に該当するとしています。

労働者該当性の基準

(1)基本的判断要素
まず基本的な判断要素として、①使用者側の業務組織に組み入れられていると言えるか、②契約内容が使用者側に一方的・定型的に決定されているか、③報酬が労務の対価と言えるかが挙げられます。

(2)補充的判断要素
そして上記に加え、①業務の依頼に応ずべき関係にあるか、②指揮監督下における労務提供や一定の時間的場所的拘束があるかも加味して総合的に判断されることとなります。
しかし逆に顕著な事業者性が認められた場合には労働者性は否定されるとされております。

コメント

上記の判断基準はこれまでの最高裁判例などから導き出されたものと言えます。

労働者と認められた例としては、テレビ局と自由出演契約を締結していた楽団、国立劇場と出演基本契約を締結していた合唱団、修理補修業者と業務委託契約を締結していた受託者などがあります。

本件で中央労働委員会は、加盟者とコンビニ本部のフランチャイズ契約は本部側によって一方的かつ定型的に決定されており交渉力の格差も認めました。

しかしコンビニ店長としての独立性から本部側の事業組織に組み入れられているとは言えず「労働者」に該当しないとしました。
今後コンビニ店長としての裁量の有無や本部の指揮監督の及ぶ強さなどが争点になっていくのではないかと考えられます。
業務委託契約などを締結している場合には上記判断基準を念頭に労働者に該当するかを検討し直しておくことが重要と言えるでしょう。

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[著者情報] mhayashi

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2008年より中央大学ビジネススクール客員講師(13年より同客員教授)
2016年より2018年まで東京大学大学院法学政治学研究科教授
2019年ベンチャーラボ法律事務所開設

主にベンチャー・スタートアップ支援、M&A、国際取引、一般企業法務を取り扱う。

主著として、『業務委託契約書作成のポイント』(共著)、『契約書の見方・つくり方(第2版)』、『ビジネス法律力トレーニング』、『ビジネス常識としての法律(第2版)』(共著)、『シチュエーション別 提携契約の実務(第3版)』(共著)、『会社役員のための法務ハンドブック(第2版)』(共著)などがある。
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