まもなく施行、障害者差別解消法

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はじめに

 平成25年に成立した障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(障害者差別解消法)が今年4月から施行されます。障害者差別解消法の概要を見ていきたいと思います。

障害者差別解消法とは

 この法律は2006年国連総会本会議で採択された「障害者の権利に関する条約」を2007年に日本が批准したことを受け、障害者基本法の理念を具体化する形で制定されました。全ての障害者が健常者と等しく人権を共有し個人として尊重される社会を実現することを目的としています。その内容は大きく、差別解消のための基本指針の策定を政府に義務付けること、行政機関と事業者がなすべき差別解消措置、そのための支援措置、に分けられます。また実効性確保のため一定の罰則も設けられております。

差別解消措置

 障害者差別解消法では行政機関と事業者に障害を理由とする差別を解消するための一定の措置を義務付けています。
(1)差別的取り扱いの禁止
 まず行政機関と事業者は障害を理由として障害の無い者と不当な差別的取り扱いをすることにより権利利益を侵害してはならない旨規定しています(7条1項、8条1項)。これは行政機関のみならず事業者にも法的義務として課されています。不当な差別的取り扱いとは「正当な理由」なく、サービスや各種機会の提供を拒否したり、特別な条件を付けたりすることを言います。そして「正当な理由」が認められるためには、障害者、事業者、第三者等の権利利益を客観的に判断し、真にやむを得ないと言える場合でなくてはなりません。

(2)合理的配慮義務
 障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合、つまり何らかの措置を必要としている旨の意思の表明があった場合には、加重な負担とならない限り、必要かつ合理的な配慮をすべきことが規定されています(7条2項、8条2項)。これは行政機関については法的義務を課していますが、事業者には努力義務となっております。どのような配慮を必要とするかは、障害者の障害の内容、具体的な場面や状況等によって様々ですので、個別的に柔軟な判断を必要とするでしょう。具体的には車椅子用のスロープを設置する、筆談や読み上げ、手話や点字による表示等が該当することになるでしょう。また「加重な負担」であるかについては、やはり個別具体的に、事業への影響の程度、費用等負担の程度、実現可能性等を総合的客観的に判断することになります。

(3)対応要領・ガイドラインの策定
 各事業分野を管轄する主務大臣は、事業者に対し、差別解消のために適切に対応するためのガイドラインを策定することが義務付けられています(11条)。また各事業者に対し、ガイドラインに定める事項について報告を求め、助言指導、勧告をすることができます(12条)。それに従わない場合には20万円以下の過料の罰則も定められております(26条)。

コメント

 以上のように、障害者差別解消法は事業者に対しては不当な差別取り扱いを禁止しているのみで、合理的配慮義務に関しては現段階では努力義務となっております。しかし附則の7条では検討規定が置かれ、施工後3年経過時に合理的配慮義務については検討を加えた上で必要があると認めるときは見直しを行うとしています。つまり現段階では事業者に法的義務は無くとも、将来は法的義務化または配慮内容の変化が生じることも十分に考えられます。行政、民間に限らず障害者に対する意識や認識がいまだ不十分であるのが現状です。一般的には盲導犬は知られていても、ペットにしか見えない聴導犬はほとんどの人が知らず、聴覚障害者が店舗等でトラブルにあっているのも事実です。そのような場合には民事上の紛争にも発展しかねないと言えるでしょう。各事業者は障害者のためにどのような配慮が可能であるか、今のうちに検討しておくことも無駄ではないと思います。

企業法務ナビよりお知らせ
本記事は、約3年11ヶ月前に投稿された記事です。法律を内容とする記事の特性上、その改正や他の特別法の施行、経過措置期間の経過、関連判例の出現などによって内容が古くなり、現在は誤りとなる可能性がありますので、ご注意下さい。
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[著者情報] mhayashi

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2008年より中央大学ビジネススクール客員講師(13年より同客員教授)
2016年より2018年まで東京大学大学院法学政治学研究科教授
2019年ベンチャーラボ法律事務所開設

主にベンチャー・スタートアップ支援、M&A、国際取引、一般企業法務を取り扱う。

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