消費者契約法改正の動きについて

はじめに

政府は2日、民法改正による成人年齢引き下げを踏まえ「デート商法」などの契約を取り消すことができるようになる消費者契約法の改正案を閣議決定しました。10代の成人を悪質商法から保護することを主な目的としています。今回は消費者契約法改正のポイントについて見ていきます。

法改正の経緯

2022年施行が予定されている改正民法では現在の20歳から18歳に成人年齢が引き下げられることになっております。それを踏まえて未成年者喫煙禁止法や旅券法、少年法、国籍法などの各法律の年齢規定も改正されます。そして消費者契約法改正では10代で成人となる若者の保護を図ります。報道などによりますと、近年、業者であることを隠し恋愛感情につけ込んで商品の販売を勧誘する、いわゆる「デート商法」の相談が年に500件前後国民生活センターに寄せられていると言われております。そのうちの半数は20代の若い世代が占めているとされます。そのような10代の成人を悪質商法などのトラブルから保護すること必要とされてきました。

法改正のポイント

(1)取り消しうる不当な勧誘行為の追加
今回の改正の一番のポイントとして取り消すことができる契約類型が追加されました。まず現行法4条3項に規定されている、不退去や消費者の退去妨害による困惑に乗じた意思表示の取り消しに加え、①社会生活上の経験不足につけ込んだ契約や、②契約締結前に債務の実施を行うものが追加されます。①は就職や結婚といった社会生活上の願望に関し不安をあおり、就職セミナーなどに勧誘したり、また消費者の恋愛感情を知りつつ、契約しなければ関係を継続できないなどと勧誘する行為です。②は消費者が契約締結の意思を表示する前に目的物の準備提供を行ない代金請求する行為です。典型的には先に物干し用の竿竹を切るといった行為です。さらに現行法4条2項の不利益事実の不告知から来る事実誤認による契約で、「故意に告げなかった」場合に限定されていた取り消しを「故意又は重大な過失によって」と拡大されます。

(2)無効となる不当契約条項の追加
現行法8条では事業者の債務不履行や不法行為、目的物の隠れた瑕疵などによる消費者への賠償責任を免除する契約条項などが無効と規定されております。また8条の2では消費者の解除権を放棄する旨の条項も無効とされております。そこに消費者の後見、補佐、補助開始决定を理由とする解除条項、例えば「賃借人が成年被後見人となった場合、賃貸人は直ちに契約を解除できる」といった条項が追加されます。また事業者が自己の責任を自ら决定する条項も無効となります。「当社が過失のあることを認めた場合に限り、当社は賠償責任を負う」といったものです。

(3)事業者の努力義務
現行法3条で定められている事業者の努力義務がより具体的になります。事業者が契約条項を定めるにつき、その解釈に疑義が生じない明確なもので、消費者にとって平易なものとなるよう務めなければなりません。また契約の目的物に関して個々の消費者の知識、経験を考慮して必要な情報を提供するよう勤めなければならないとされます。

コメント

現行民法では20歳で成年とされ(4条)、未成年の法律行為は法定代理人の同意がなければ取り消すことができるとされております(5条1項、2項)。民法改正により18歳で成年となると、18歳、19歳の社会的に未成熟な若者の保護がなくなることになります。今回の法改正案はまさにその部分を補う形となっております。また不利益事実の不告知についても、これまでは従業員の過失によって告知していなかったと言えば取り消しはできなかったところを取り消すことができるようになっている点がポイントです。しかし逆に消費者側が説明を拒んでいたといった場合には取り消すことができる不告知には該当しません。無効、取り消しうるものがより具体的になる改正消費者契約法。どのような場合は違法で、どのような場合は適法かを正確に把握し、顧客との契約書条項も今一度見直すことが重要と言えるでしょう。

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1994年 大阪弁護士会 登録 梅ケ枝中央法律事務所 
2000年 ハーバードロースクール 修士課程(LL.M)卒業
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2002年 第一東京弁護士会 登録替 長島大野常松法律事務所
2004年 外立総合法律事務所
2012年 株式会社カービュー コーポレートリーガルアドバイザー    
2016年 法務室長
2018年 AYM法律事務所開設

弁護士会活動(2018年2月現在)
日本弁護士連合会 ひまわりキャリアサポート 委員
第一東京弁護士会 業務改革委員会 委員 

企業法務を中心とした法律事務所に長年勤務した後、2012年からインターネット系企業の法務責任者としてプラットフォームを利用したメディア・コマースビジネスについてのさまざまな法律問題をサポート。
2018年にAYM法律事務所開設 代表弁護士

主な著書
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1998年 一宮市役所入職(2001年3月まで)
2006年 弁護士登録(59期 東京弁護士会)
奧野総合法律事務所入所
2009年 日本証券業協会法務部(出向) 
2013年 せいりん総合法律事務所 パートナー(独立)
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■杉谷 聡
略歴:
愛知県一宮市出身
愛知県立一宮高等学校卒業
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2010年 静岡大学人文学部法学科卒業
2013年 南山大学法科大学院法務研究科修了
2014年 弁護士登録(67期 愛知県弁護士会)
川上・原法律事務所入所
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大久保 裕史
弁護士・NY州弁護士

グローバルに展開する大規模法律事務所であるクリフォードチャンス法律事務所において、国際的な企業法務を取り扱い、国内外の企業に法的助言を行う。その間に、国内大手商社法務部への出向やワシントンD.C.での勤務も経験。現在は、オリンピア法律事務所のパートナーとして、主に中部圏の企業の国際取引・海外進出をサポートしている。

略歴:
早稲田大学法学部・法科大学院卒業、
コロンビア大学ロースクール(LLM)卒業
2009年12月 弁護士登録
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クリフォードチャンス法律事務所 外国法共同事業
2012年6月~2014年2月 三井物産株式会社 法務部(出向)
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アジア太平洋地域法務責任者
*7月1日付にてインヴェンティヴ・ヘルス・ジャパン合同会社より社名変更予定

1961年神戸市生まれ
中央大学法学部法律学科卒
立命館大学法務研究科修了
スタンレー電気㈱総務部庶務課法務担当を皮切りに、日本AT&T㈱(米系)契約課長、松下冷機株式会社法務室主事、
セジデム株式会社(仏系)コーポレートサービス部統括部長・法務部長兼任等、を歴任し、現職。
*企業名は当時のまま。
※日本企業・外資系企業双方で通算30年以上の企業法務・国際法務の経験を有する現役の企業法務責任者です。
当社は、東京にて、企業法務パーソン(企業法務担当者・インハウスローヤー等)のためのビジネススクールを運営しています。
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