従業員から取得する誓約書のポイント

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今回は弁護士法人内田・鮫島法律事務所の永島太郎弁護士に「従業員から取得する誓約書のポイント」について記事を執筆していただきました。

1.はじめに

現在、多くの会社が、自己の従業員から秘密保持誓約書を取得していると思います。
この誓約書について、①内容と②取得時期という、2つのポイントについてご説明します。

2.内容に関するポイント

(1)具体的な記載が重要であること
まず、誓約書の内容についてですが、その中心的内容とは、当然、秘密保持に関する規定です。
係る規定のポイントとして、秘密保持の対象となる情報につき、具体的な記載を追加することが重要です。
これにより、こういった情報が営業秘密に該当するといいやすくなるためです。

(2)営業秘密の秘密管理性要件
誓約書の内容が問題となるのは、従業員がこれに違反した場合であり、例えば、退職従業員が元の会社の情報を漏洩したときです。
会社がこの退職従業員の責任を追及する場合、いつくかの方法が考えられますが、漏洩された情報が営業秘密に該当するとして、損害賠償請求や差止請求を行うことが考えられます。
その前提として、営業秘密に該当するためには、①秘密管理性、②有用性、および、③非公知性の要件を満たすものでなければなりません(不正競争防止法2条6項)。

各要件のうち、裁判例で最も争われることが多いのは、①の秘密管理性の要件です。
経済産業省が公開している「営業秘密管理指針」(平成15年1月30日:全部改定平成27年1月28日)によれば、「秘密管理性要件が満たされるためには、営業秘密保有企業の秘密管理意思が秘密管理措置によって従業員等に対して明確に示され、当該秘密管理意思に対する従業員等の認識可能性が確保される必要がある」とされています。
つまり、秘密管理性の要件が満たされるためには、従業員などがそれを見た時に、会社が秘密にしたい情報であると理解できることが重要です。

(3)秘密の対象となる情報の記載
誓約書の中に秘密保持の対象となる情報が具体的に記載されていれば、会社は、従業員は会社が秘密にしたい情報と理解できたと主張しやすくなります。
実際の裁判例の中には、この逆の例として、秘密保持誓約書の秘密情報として、具体的な情報の特定がなかったことを1つの理由として、秘密管理性、ひいては営業秘密該当性を否定したものがあります(東京地判平30・9・27 平成28年(ワ)第26919号および第39345号)。

この裁判例を踏まえ、簡単な事例を用いて具体的に検討してみたいと思います。
あなたの会社は特殊な製造方法を使って製品Aを製造しており、この製造方法は公には知られておらず、競合他社を含めて第三者には知られたくない情報であったとします。
従業員が退職後にこの情報を第三者に漏洩させた場合に、営業秘密としての保護を受けやすくするためには、上記製造方法を知る可能性のある従業員から秘密保持に関する誓約書を取得し、かつ、その中に、秘密保持の対象となる秘密情報として、「製品Aの製造方法」との記載を追加しておくことが考えられます。

3.取得時期に関するポイント

最後に、誓約書の取得時期ですが、一つのポイントは、入社時や入社後すぐなど、従業員の会社に対する忠誠度が高い時期に誓約書を取得しておく(署名・押印させる)ことです。
これは、退職間際の従業員から誓約書を取得しようとしても、すでに従業員の気持ちは会社から離れており、誓約書に署名等しないことも十分にありうるからです。

執筆者情報

永島太郎
弁護士法人内田・鮫島法律事務所 弁護士

詳しいプロフィールはこちらからご確認ください。

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[著者情報] 永島 太郎
内田・鮫島法律事務所 弁護士

2006年03月 北海道大学獣医学部卒業/獣医師国家試験合格
2006年04月 農林水産省 入省(2008年3月まで)~動物・畜産物の輸出入に係る許認可業務に従事
2008年04月 京都大学大学院法学研究科法曹養成専攻 入学(未修者枠)
2011年03月 京都大学大学院法学研究科法曹養成専攻 修了
2011年09月 司法試験合格/11月 司法研修所 入所
2012年12月 第一東京弁護士会登録(新65期)
2013年01月 大塚製薬株式会社 入社(2017年1月まで)~医薬品に係る国内外の契約業務、会社設立等の資本・事業提携業務等に従事
2017年02月 弁護士法人内田・鮫島法律事務所入所

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1987年 東京大学法学部卒業
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1995年 ロンドン大学UCL(LL.M.)卒業
2000年よりTMI総合法律事務所にパートナーとして参画
2008年より中央大学ビジネススクール客員講師(13年より同客員教授)
2016年より2018年まで東京大学大学院法学政治学研究科教授
2019年ベンチャーラボ法律事務所開設

主にベンチャー・スタートアップ支援、M&A、国際取引、一般企業法務を取り扱う。

主著として、『業務委託契約書作成のポイント』(共著)、『契約書の見方・つくり方(第2版)』、『ビジネス法律力トレーニング』、『ビジネス常識としての法律(第2版)』(共著)、『シチュエーション別 提携契約の実務(第3版)』(共著)、『会社役員のための法務ハンドブック(第2版)』(共著)などがある。
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2006年 最高裁判所司法研修所入所
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2007年 早稲田大学法科大学院法務研究科修了
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2011-2013年 新日鐵住金株式会社知的財産部知的財産法務室出向

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講師情報
永島 太郎
内田・鮫島法律事務所 弁護士

2006年03月 北海道大学獣医学部卒業/獣医師国家試験合格
2006年04月 農林水産省 入省(2008年3月まで)~動物・畜産物の輸出入に係る許認可業務に従事
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2017年02月 弁護士法人内田・鮫島法律事務所入所 この著者の記事一覧へ
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講師情報
溝上 絢子
大阪教育大学附属高等学校池田校舎卒業
大阪大学法学部卒業
大阪大学大学院法学研究科修士課程修了

2003(平成15)年04月
司法研修所入所(57期)
2004(平成16)年10月
大阪弁護士会に弁護士登録 当事務所入所
2008(平成20)年04月 - 2010(平成22)年9月
大阪大学高等司法研究科(ロースクール)非常勤講師
2011(平成23)年04月 - 2012(平成24)年03月
大阪弁護士会 常議員
2017(平成29)年07月 - 現在
吹田市立男女共同参画センター運営審議会委員
大阪弁護士会 高齢者・障害者総合支援センター運営委員会委員
大阪弁護士会 男女共同参画推進本部委員
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セミナー部分では法務担当者のための意見交換会を行いたく考えています。
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2020年03月03日(火)
19:00 ~ 21:00
2,000円
名古屋市中区丸の内
講師情報
和田 圭介
略歴:
愛知県春日井市出身
愛知県立旭丘高校卒業
2004年 京都大学法学部卒業
2005年 弁護士登録(58期 第二東京弁護士会)
クリフォードチャンス法律事務所外国法共同事業入所
2008年 フランス系ラグジュアリーブランド日本支社(出向)
2010年 アメリカ、Duke University School of Law(法学部)LLM卒業
2010年 クリフォードチャンス香港オフィス(出向)
2011年 日系の大手財閥系総合商社のイギリス子会社の法務部(出向)
2013年 ニューヨーク州弁護士登録
2015年 IBS法律事務所開設(愛知県弁護士会に登録換え)
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