マイナミに公取委が立入検査、私的独占について

はじめに

公正取引委員会は22日、独占禁止法が禁止する私的独占の疑いでマイナミ空港サービスの本社を立入検査していたことがわかりました。新規参入業者を市場から排除しようとした疑いがあるとのことです。今回は私的独占の概要について見ていきます。

事案の概要

報道などによりますと、マイナミ空港サービス(東京都港区)は全国の空港で航空燃料の給油サービスを展開し昨年の売上は約63億4千万円とのことです。2015年~2016年頃、九州地方の航空会社が八尾空港(大阪府八尾市)で給油施設を開設し給油サービスを開始したことに対し、マイナミ社は長年契約している航空会社に「他社の燃料を給油して機体が墜落しても責任は取れない」などと迫り他社の給油サービスを利用しないよう仕向けた疑いが持たれております。これを受け公取委は22日、立入検査を行い実態解明に乗り出しているとされます。

私的独占とは

私的独占とは、「事業者が、他の事業者の事業活動を排除し、または支配することにより、公共の利益に反して、一定の取引分野における競争を実質的に制限すること」とされております(独禁法2条5項)。一般に「排除型私的独占」と「支配型私的独占」分けられ、違反した場合は排除措置命令および課徴金納付命令の対象となります(7条、7条の2)。

行為要件

(1)排除型
排除型私的独占の行為要件としては、公取委のガイドラインによりますと、他の事業者の事業活動の継続を困難にさせたり、新規参入者の事業活動を困難にさせたりする行為であって、競争の実質的制限につながる様々な行為が該当しうるとされます。不公正な取引方法である取引拒絶、差別対価、不当廉売、抱き合わせ、排他条件付取引に当たる行為が典型例ですが、これらの限られることなくあらゆる行為が該当しうることになります。

(2)支配型
支配型私的独占の場合の「支配」とは一般に他の事業者についてその事業活動に関する意思決定を拘束し、自己の意思に従わせることであると言われております。典型的には株式保有や役員兼任といった会社組織上の方法による支配と、取引上の優越的な地位を利用することによる支配があるとされます。

効果要件

私的独占の効果要件は「一定の取引分野における競争を実質的に制限すること」です。ガイドラインでは「当該排除行為により競争の実質的制限がもたらされる範囲のことであり、その範囲は必要に応じて対象商品にかかる需要や供給の代替性を考慮しながら、当該排除行為に係る取引およびそれにより影響を受ける範囲を検討し特定する」とされます。簡単に言うと「市場」のことであり、不当な取引制限のものと同様と言えます。競争の実質的制限とは、ある程度価格、品質、数量などを自由にすることができる力、すなわち市場支配力を形成し、維持し、強化されていれば該当することになります。これも不当な取引制限のものと同様と言えます。

コメント

公取委のガイドラインによりますと、事業者のシェアがおおむね50%を超えており、市場規模、行為者による事業活動の範囲、商品の特性等を総合的に考慮して、国民生活に与える影響が大きいと考えられるものについて優先的に審査を行うとしています。本件でマイナミ社の正確なシェアはわかりませんが50%を超えている可能性は高いと言えます。また取引相手である航空会社に他社の燃料を使用しないよう迫り、念書まで書かせている疑いがもたれております。これが事実であれば行為要件には該当することになり、日本国内の航空燃料市場で競争に与える影響も相当大きいものと言えます。以上のように私的独占は不当な取引制限とは意思の連絡と相互拘束の有無、不公正な取引方法とは市場に与える影響度が違うだけで、それぞれの禁止行為は相互に近い関係にあると言えます。独禁法上どのような行為が禁止されているか、そしてその行為による市場影響力はどの程度か、その程度の違いでどのようなペナルティが課されるかを正確に理解しておくことが重要と言えるでしょう。

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五三・町田法律事務所 弁護士

2008年慶應義塾大学大学院法務研究科修了
2009年弁護士登録
2012年五三(いつみ)・町田法律事務所開設

第二東京弁護士会労働問題検討委員会副委員長、経営法曹会議会員、日本労働法学会会員、経営者側労働法専門弁護士で、日々顧問先等からの様々な人事労務相談対応、労働審判・仮処分・労働訴訟の係争案件対応を行うとともに、複数社のヘルプライン窓口(内部通報窓口)となり相談(通報)があった際の対応・サポート業務を行っている。
このほか、社内研修、行政や経営者団体主催セミナー等の講演にも登壇。

主な著書として、『労務専門弁護士が教える SNS・ITをめぐる雇用管理-Q&Aとポイント・書式例-』(編著,新日本法規出版)、『女性雇用実務の手引(加除式)』(執筆担当,新日本法規出版)、『企業法務のための労働組合法25講』(共著 商事法務)、『就業規則の変更をめぐる判例考察』(編著 三協法規出版)、『労働契約の終了をめぐる判例考察』(編著 三協法規出版)、『裁判例や通達から読み解くマタニティ・ハラスメント』(編著 労働開発研究会)、『労働事件ハンドブック 』(共著,労働開発研究会)など。

主な論考として、「近時の裁判例にみるパワーハラスメントの法的意義」(季刊労働法2017年冬掲載)、「コンパクトに理解する労働法対応アップデート 労務コンプライアンス研修のポイント」(ビジネスロー・ジャーナル2017年4月号掲載)、「判例研究 パートタイム労働法8条違反が不法行為を構成するとされた例-N社(ニヤクコーポレーション)事件(大分地裁平25.12.10)-」(経営法曹183号掲載 2014年)など。
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略歴:
大阪教育大学附属高等学校卒業
1980年 京都大学法学部卒業
1982年 弁護士登録(34期 愛知県弁護士会)
青山法律事務所入所
1988年 川上法律事務所パートナー
2010年 川上・原法律事務所に名称変更
2017年 オリンピア法律事務所 パートナー

■杉谷 聡
略歴:
愛知県一宮市出身
愛知県立一宮高等学校卒業
2016年 一橋大学法学部卒業
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2014年1月 夏目総合法律事務所開設
2017年2月 オリンピア法律事務所開設
2017年3月 グロービス経営大学院経営研究科修了(MBA)

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2008年 早稲田大学法科大学院卒業
2009年 弁護士登録
2010年~2018年 クリフォードチャンス法律事務所勤務
2012年~2014年 国内大手商社法務部勤務(出向)
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大久保 裕史
弁護士・NY州弁護士

グローバルに展開する大規模法律事務所であるクリフォードチャンス法律事務所において、国際的な企業法務を取り扱い、国内外の企業に法的助言を行う。その間に、国内大手商社法務部への出向やワシントンD.C.での勤務も経験。現在は、オリンピア法律事務所のパートナーとして、主に中部圏の企業の国際取引・海外進出をサポートしている。

略歴:
早稲田大学法学部・法科大学院卒業、
コロンビア大学ロースクール(LLM)卒業
2009年12月 弁護士登録
2010年1月~2018年4月
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2012年6月~2014年2月 三井物産株式会社 法務部(出向)
2015年9月~2016年7月
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《東京会場》ポイントサービスの法的留意点
2019年04月19日(金)
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7,000円(1名様)
東京都渋谷区
講師情報
岡 伸夫
1992年 京都大学法学部卒業
1994年 大阪弁護士会 登録 梅ケ枝中央法律事務所 
2000年 ハーバードロースクール 修士課程(LL.M)卒業
Masuda Funai Eifert & Mitchell 法律事務所(シカゴ)
2002年 第一東京弁護士会 登録替 長島大野常松法律事務所
2004年 外立総合法律事務所
2012年 株式会社カービュー コーポレートリーガルアドバイザー    
2016年 法務室長
2018年 AYM法律事務所開設

弁護士会活動(2018年2月現在)
日本弁護士連合会 ひまわりキャリアサポート 委員
第一東京弁護士会 業務改革委員会 委員 

企業法務を中心とした法律事務所に長年勤務した後、2012年からインターネット系企業の法務責任者としてプラットフォームを利用したメディア・コマースビジネスについてのさまざまな法律問題をサポート。
2018年にAYM法律事務所開設 代表弁護士

主な著書
「アメリカのP&A取引と連邦預金保険公社の保護 債権管理 No.96」金融財政事情研究会
「米国インターネット法 最新の判例と法律に見る論点」ジェトロ 共著
「Q&A 災害をめぐる法律と税務」新日本法規 共著
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09:30 ~ 11:30
16,000円(税別)
東京都港区
講師情報
淵邊 善彦
ベンチャーラボ法律事務所 代表弁護士

1987年 東京大学法学部卒業
1989年 弁護士登録
1995年 ロンドン大学UCL(LL.M.)卒業
2000年よりTMI総合法律事務所にパートナーとして参画
2008年より中央大学ビジネススクール客員講師(13年より同客員教授)
2016年より2018年まで東京大学大学院法学政治学研究科教授
2019年ベンチャーラボ法律事務所開設

主にベンチャー・スタートアップ支援、M&A、国際取引、一般企業法務を取り扱う。

主著として、『業務委託契約書作成のポイント』(共著)、『契約書の見方・つくり方(第2版)』、『ビジネス法律力トレーニング』、『ビジネス常識としての法律(第2版)』(共著)、『シチュエーション別 提携契約の実務(第3版)』(共著)、『会社役員のための法務ハンドブック(第2版)』(共著)などがある。

主催・協力
レクシスネクシス・ジャパン株式会社/ビジネスロー・ジャーナル
近年ベンチャー企業を対象にしたM&Aや、中小企業の事業承継の一手段としてのM&Aが増えています。
いずれも大企業同士のM&Aと違って、人的、予算的、時間的な制約が強かったり、大企業とは違った法的問題が見つかることがよくあります。

本セミナーでは、これらのM&Aを進めるうえでの具体的な注意点や紛争事例をご紹介します。
また、本格的なデューディリジェンスを行う予算がない場合に、必要最低限押さえておくべきポイントとその調査手法をご提案します。
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企業 法務ニュース コンプライアンス 独占禁止法
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2019年05月30日(木)
13:30 ~ 16:30
18,000円(税別)
東京都港区
講師情報
石川 智也、濱野 敏彦
■石川 智也(西村あさひ法律事務所 パートナー弁護士)
2005年東京大学法学部第一類卒業
2006年弁護士登録(第一東京弁護士会)
2015年バージニア大学ロースクール卒業(LL.M.)
2016年Max Planck Institute for Innovation and Competitionにあるミュンヘン知的財産法センター修了(LL.M.)
同年Noerr法律事務所ミュンヘンオフィス勤務
2017年米国ニューヨーク州弁護士登録

日本における知的財産法、営業秘密保護、個人情報保護法のほか、EUにおける知的財産制度・競争法、EUデータ保護規則をはじめとするグローバルベースでのデータ規制について詳しい。

■濱野 敏彦(西村あさひ法律事務所 弁護士)
2002年東京大学工学部卒業 同年弁理士試験合格
2004年東京大学大学院新領域創成科学研究科修了
2007年早稲田大学法科大学院法務研究科修了
2008年弁護士登録(第二東京弁護士会)
2009年弁理士登録
2011-2013年新日鐵住金株式会社知的財産部知的財産法務室出向

知的財産法、営業秘密保護、ITのほか、大学・大学院の3年間、AIの基礎技術であるニューラルネットワークの研究室に所属していたため、AIについても詳しい。

主催・協力
レクシスネクシス・ジャパン株式会社/ビジネスロー・ジャーナル
平成30年改正不正競争防止法により限定提供データが創設され、2019年7月1日から施行されます。
本セミナーでは、営業秘密・限定提供データの漏えい防止策について説明した上で、いくつかのよく問題となるシナリオ別の留意点・対応について解説いたします。
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《東京会場:土曜日開催》今さら聞けない英文契約書(講師著書付き)
2019年06月15日(土)
09:30 ~ 15:15
(午前)か(午後)のいずれか1つに参加の方:各回13,000円+税(書籍代を含む)※書籍ご持参の方:各回11,000円+税 (午前)と(午後)の両方に参加される方:22,000円+税(書籍代を含む)※書籍ご持参の方:20,000円+税
東京都中央区京橋
講師情報
吉川 達夫
ニューヨーク州弁護士/外資系企業 VP, General Counsel

外資系法務本部長、駒澤大学法科大学院、国士舘大学21世紀アジア学部非常勤講師
元Apple Japan法務本部長、元伊藤忠商事法務部、元Temple Law School日本校客員教授。上智大学法学部、Georgetown Univ. Law Center卒

編著:『ライセンス契約のすべて 実務応用編』(編著、第一法規、2018年)、『ライセンス契約のすべて 基礎編』(編著、第一法規、2018年)、『ダウンロードできる 英文契約書の作成実務』(編著、中央経済社、2018年)など、著作・論文多数

主催・協力
レクシスネクシス・ジャパン株式会社/ビジネスロー・ジャーナル
ニューヨーク州弁護士、外資系会社VP, General Counselの吉川達夫氏を講師にお招きし、過去数年間にわたり毎年多くの方からご参加を頂いております「今さら聞けない英文契約書セミナー」を、初心者向けの午前の部(基礎編)と、中級者向け午後の部(英文契約書交渉とドラフティング編)として開催いたします。

(基礎編)は、英文契約書を読んでみたい方、国際法務にこれから携わる方や弁護士の方、携わっているが改めて基礎を確認されたい方など、この機会に是非ご参加ください(英文契約書の読み方を中心に解説)。

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※当日は国際ビジネス法務(第2版)(第一法規株式会社/2018年3月発売 /2,800円+税)を教科書として使用します。
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