東電の電力値上げ額は妥当か
2012/05/08 法務相談一般, 民法・商法, その他

事案の概要
東京電力と原子力損害賠償支援機構は枝野経済産業相に総合特別事業計画を申請。家庭向け電気料金について、7月にも10%程度値上げ方針を盛り込んだ。
電気料金など公共料金の値上げについては、所管官庁と消費者庁が共同で閣僚会議に付議し、そこで議論することになっている。だがこれまでは形式的な了承にとどまっており、消費者庁による実質的な検証作業が行われるのは今回が初めてのケース。
また消費者担当相には「他省庁への勧告権」が付与されているが、まだ2009年の発足以降一度も行使されていないなど、その存在意義に関しては疑問の声もある。
5月にも予定される東電の値上げ申請を受け、経産省は公聴会を開くなどして申請内容を検討する。その結果を消費者庁と協議をし、合意を得て結果を関係閣僚会議に付議。閣僚会議を経て、最終的に枝野経産相が値上げの可否を判断する。
松原仁消費者担当相は「(東電の)人件費を含む徹底的な合理化がなければ、(値上げに)国民の理解が得られない。国民の生活に影響が出てはならない」と述べ、慎重に検討する考えを示した。消費者庁は、内閣府の消費者委員会に意見を求めながら審査を進める方針である。
コメント
これまで発足以来一度も使われなかった「他省庁への勧告権」を、初めて本格的に行使する可能性のある興味深い事案だ。電気の10%値上げは厳しいと考えている生活者の思いが、どの程度議論や結果に反映されるのか注目したい。
一方で東京電力を所管しているのは経済産業省であり、官庁が異なるとはいえどちらも日本政府の一部である。発足間もない消費者庁の政府内での影響力に加え、あまりに異なる主張を掲げれば政府内でのコンセンサス形成が困難になるという懸念が存在する。
今回の議論や決定は、今後同様の事案が生じた際に参考にされ続けるだろう。
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