24時間営業の義務付けは正当。セブンイレブン加盟店側敗訴 !
2011/12/23 フランチャイズ, 独占禁止法, 流通

24時間営業の義務付けは正当。セブンイレブン加盟店側敗訴 !
東京地裁は22日、加盟店に深夜営業や公共料金などの収納代行業務を強いるのは違法として、セブイレブン加盟店経営者10名がセブンイレブンジャパンを相手に起こした訴訟において、加盟店側の請求を棄却する判決を下した。
同裁判所の福井章代裁判長は、判決の理由として「深夜営業や公共料金などの収納代行業務を義務付けた規定は、商慣習に照らし、不当に不利益を与えるものではない」と述べている。
加盟店側は控訴する方針のようだ。
争点
■フランチャイズ契約の内容
加盟店側とセブンイレブンジャパンとの間で締結されたフランチャイズ契約の中には、24時間営業と公共料金などの収納代行業務を義務付ける規定が含まれており、加盟に際しては、同規定に合意する形でフランチャイズ契約が締結されている。
一方で、加盟店側からすると、いざ、フランチャイズとして経営を始めてみると、24時間営業の負担は極めて大きく、また、収納代行で店に多額の現金があることから犯罪リスクも高くなるなど、精神的な負担も大きいようだ。
■加盟店側の主張
加盟店側は、今回の訴訟において「24時間営業や収納代行業務の義務付け規定は、セブンイレブンジャパンが加盟希望者に対して有する優越的地位を濫用したものである」と主張している。
※独占禁止法における「優越的地位の濫用」とは…
独占禁止法では、取引上の地位が相手より優越していることを利用して、正常な商慣習に照らして不当と判断される特定の行為を禁じている。今回問題となった、24時間営業や収納代行業務の義務付け規定は、そのうちの「相手方に不利益となるように取引条件を設定する」行為に該当すると加盟店側は主張している。
24時間営業や収納代行業務の義務付けがコンビニ業界の正常な商慣習に照らして不当と判断されるものかどうかが今回の主な争点となった。
東京地裁の判断
東京地裁は、「加盟店にはフランチャイズ・チェーンのイメージの重要な要素である商品やサービスの提供義務がある」とした上で、「コンビニ業界で広く普及している24時間営業や収納代行などがなければセブイレブンの有する利便性等の重要なイメージが損なわれることは避けられないのであり、フランチャイズ契約を締結した加盟店には、これらのサービスを提供する義務がある」とした。
その上で、これらのサービスの提供をフランチャイズ契約で求めることは、コンビニ業界の正常な商慣習に照らして不当なものではなく、したがって、独占禁止法で違法とされる「優越的地位の濫用」にはあたらないと判断している。
雑感
実際にフランチャイズ経営を行う加盟店側の苦労は計り知れないと言う。フランチャイズ本部から事前に聞かされた売上予測と実際の売上額があまりに違う(本部側は、あくまで売上予測であると釘を打ってはいるようだが)、一部店舗における労働環境の過酷さ、思いがけず多くかかる経費のやりくりなどに苦悩している加盟店も少なくないようだ。
そういった中で、24時間営業や収納代行の義務付けは、加盟店側の負担をさらに重くしている要素の一つなのだろう。「夢を抱いて締結したフランチャイズ契約の中の条項が、ただでさえ苦しい状況を、さらに苦しいものとしている」。そう考えると、加盟店側が、セブンイレブンジャパンに優越的地位を濫用されたという気持ちになっても仕方がないのかもしれない。
しかし、今回の判決自体は、独占禁止法の仕組みに照らすと妥当な判決だったように見える。やはり、24時間営業や収納代行業務は、セブンイレブンが築き上げた利便性というイメージの大きな要素となってしまっているし、これだけコンビニ業界で24時間営業や収納代行が定着してしまうと、これらのサービスの義務付けが、コンビニ業界の商慣習に照らして不当なものだということは難しいだろう。
フランチャイズ契約の締結については、本部側と加盟希望者との情報格差がしばしば問題を引き起こしている。今回敗訴した加盟店側も、フランチャイズ契約前に、24時間営業や収納代行業務の大変さを認識していれば、そのような契約内容に合意することはなかったであろう。
最近では、本部側もかなり気を使って、契約締結前に詳細な説明を行っているようだが、本部側としても、今回のようなトラブルは不本意なものである。例えば、実際にフランチャイズ経営を行っている人の生の声を聞ける機会を設ける等、より一層の丁寧な情報提供が求められる。
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