新潟の26社のタクシー会社で価格カルテル。25社に2億3000万円の課徴金。
2011/10/18   独禁法対応, 独占禁止法, その他

新潟の26社のタクシー会社で価格カルテル。25社に2億3000万円の課徴金。

公正取引委員会は、15日、価格カルテルを結んで運賃を値上げした新潟県のタクシー会社26社につき、独占禁止法第3条違反を認定し、そのうちの25社に、総額約2億3000万円の課徴金納付を命じる処分案を通知した。
なお、タクシー業界における価格カルテル認定は初めてのことである。

独占禁止法第3条

「事業者は、私的独占又は不当な取引制限をしてはならない。」

◆不当な取引制限とは
「不当な取引制限」は、カルテルと入札談合とに分けられる。
(1)カルテル
カルテルに参加する事業者が相互に連絡を取り合い、本来、各事業者が自主的に決めるべき商品の価格や販売・生産数量などを共同で取り決め、不当に利益をあげる行為。
中でも、価格を共同で取り決める価格カルテルは最も有効度の高い競争制限手段として、その違法性は高い。
(2)入札談合
国や地方公共団体などの公共工事等に関する入札に際し、入札が、見積最低価格の業者に発注すべく行われるものであるにも関わらず、事前に示し合せ、受注事業者や受注金額などを決めてしまう行為。これにより、入札価格が高止まりすると一般的に言われている。

今回のカルテルの概要

1 重ねられた会合
今回問題となった26社のタクシー事業者は、平成21年秋以降、業界団体である「新潟市ハイヤータクシー協会」の会議室などで、タクシー料金の一斉値上げに関する会合を重ねた疑いが持たれている。

2 価格カルテル
平成22年2月頃、各社は、上記会合の結果を踏まえ、北陸信越運輸局に対し、小型車の初乗りを「570円」に、その後の299mごとの加算額を「80円」に値上げする旨の申請をそれぞれ行った。また、申請前は各社で異なっていた初乗りの距離も、1.3kmに合わせて申請を行っている。

同年の3月26日、値上げ申請は、一斉に認可され、新潟市の一部と聖籠町を営業エリアとする「新潟交通圏」では、全27社のタクシー事業者のうち、26社が同一運賃になった。

なお、タクシー運賃については、各地域の運輸局が運賃の上限と下限を設定し、その範囲内であれば、各タクシー事業者が申請した価格がそのまま認可されることとなっている。

雑感

この事件が起きる前から、タクシー料金ついては、過当競争による賃金下落を是正するため、「運賃適正化」という名目で国土交通省も値上げを推奨・指導していたようだ。

元々、タクシーの運賃は、原則として同じ地域では会社を問わず、同じ運賃となっていた(同一地域同一運賃制度)が、平成5年に同制度が廃止され、現在では、上述のように、地域ごとに定められた一定の額の範囲内であれば、各タクシー事業者の裁量で運賃を自由に定めることができる。

しかし、運賃を自由に定められることが、かえって過当競争を起こし、各地域で定められる最下限の額に大多数のタクシー事業者の運賃が集中してしまう弊害が生じている。
また、タクシー車両の増加が客の奪い合いに拍車をかけ、運転手の稼ぎ・就労環境を悪化させている。これでは、一斉に運賃を上げて、業界全体で底上げすることで、この状況から脱却したいというのは、タクシー事業で生計を立てる者からすると自然な心理であろう。

しかし、少しでも自由な裁量による競争が存在する市場には、独占禁止法第3条の適用があるのは当然のことである。したがって、法的観点からは、今回の26社のタクシー事業者の行為が独禁法違反に問われることは間違いない。

一方で、タクシー業界にあっては、タクシー事業者がどこも似通ったコスト構造であること、路上でタクシーを捕まえる場合等のシチュエーションを見てもそうだが、タクシーのサービス内容を見て乗るタクシーを決める消費者は少なく、目の前に来たタクシーに乗る傾向が強いため、現実に市場原理が働きにくいこと等を挙げて、自由競争をさせること自体に反対する声も多い。

一消費者としては、結局のところ、サービスに応じた選択を行う機会は少ないのだから、各地域で一律の運賃設定をしてもらった方が安心して乗車できる気がするが、いかがだろうか。

上間法務行政書士事務所
行政書士 齊藤 源久(さいとう もとひさ)

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