法定休日の特定義務化や14連勤禁止へ、労基法改正の動き
2025/12/01 労務法務, コンプライアンス, 労働法全般, 法改正

はじめに
厚生労働省の労働政策審議会では14日以上の連続勤務禁止や法定休日の明確な特定義務化など労働基準法の改正に向けた議論が進められています。労基法の大改正は約40年ぶりとのことです。
今回は労基法改正案の概要を見ていきます。
改正の経緯
近年のコロナ禍を契機とするテレワークの広がりやフリーランス、副業の増加など働き方の多様化により労働法関連分野では様々な新しい問題が提起されています。
また、各分野での人手不足とそれに伴う長時間労働の深刻化、休日や深夜問わず会社からのメールやチャットでメンタル不調や精神疾患なども問題視されています。
このような背景から、厚労省では労基法そのものの抜本的な整備のし直しが必要と認識し、有識者で構成された「労働基準関係法制研究会」を立ち上げ、今年1月には同研究会による改正案をまとめた報告書を発表しました。
改正案については現在労働政策審議会・労働条件分科会で審議が続いているとされます。
改正案の概要
現在審議されている労基法の改正案では主に次の7点が議論されています。
(1)連続勤務の上限規制
(2)法定休日の明確な特定義務
(3)勤務間インターバル制度の義務化
(4)有給休暇時の賃金算定における通常賃金方式の原則化ルールの明確化
(5)つながらない権利のガイドライン策定
(6)副業・兼業者の割増賃金のルール見直し
(7)法定労働時間週44時間の特例措置廃止
となっています。
現行法では週に1日の休日が義務付けられますが、特例で4週間に4日の休日が認められる場合があります。この場合、極端な例では24連勤も有りえます。労働者の健康管理上大きなリスクです。
そこで、改正案では14日以上の連勤が禁止となります。それに伴い、休日の事前の特定義務化も検討されています。
現行法では努力義務となっている勤務間インターバル制度も義務化し、インターバル時間は11時間とする案が検討されています。勤務間インターバルとは勤務の終了から翌日の勤務までの時間を言います。
年次有給休暇取得時の賃金の算定について現行法では平均賃金方式、通常賃金方式、標準報酬日額方式のいずれかを選択できます。しかし、これでは日給制や時給制の労働者に不利益が生じるおそれがあることから、原則として通常賃金方式に固定されることが検討されています。
勤務時間外での業務上のメールや電話は労働者の休息を阻害し、心身の健康確保が困難となります。そこで、改正法では勤務時間外の会社や上司からの連絡を拒否できる「つながらない権利」を法制化し、どのような場合に連絡が許容され、どのような場合には拒否できるかのガイドライン策定が提言されています。
これら以外にも本業と副業で割増賃金算定における通算管理をしない旨や、法定労働時間週44時間の特例措置の撤廃が検討されています。
その他の法改正
上記の労基法大改正以外にも、来年2026年にはいくつかの労働関連改正法の施行が予定されています。
障害者雇用促進法では事業主に対し、常時雇用する従業員の一定割合以上の障がい者を雇用することを義務付けています。この法定雇用率は段階的に引き上げられており、2024年4月に2.3%から2.5%に、そして2026年には2.7%に引き上げられる予定です。
それ以外にも、2026年4月から「子ども・子育て支援金」制度の運用が開始されます。これは社会全体で子育てを支援するため、医療保険の保険料とあわせてその財源を徴収するというものです。従業員1人あたり月額500円程度が想定されています。
また、改正労働安全衛生法や年金制度の改正法の施行も2026年4月1日施行となります。
コメント
以上のように、現在厚労省の法制審議会では労働基準法の抜本的な改正が議論されています。実現した場合、約40年ぶりの大改正となる見込みです。
連続勤務の上限が14日とされたり、勤務時間外では原則として会社からのメールやチャットなどの連絡を拒否できる「つながらない権利」の法制化、小規模事業場での法定労働時間週44時間の特例撤廃などが盛り込まれています。
2026年の通常国会で改正案が提出され、早ければ2027年4月からの施行が予想されます。
これらを踏まえて、現段階から就業規則や雇用契約書の見直し、勤怠システムの回収などを検討し準備しておくことが重要です。
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