Googleに排除措置命令へ、公取委がGAFAへ初の措置
2025/01/06 契約法務, コンプライアンス, 行政対応, 独禁法対応, 独占禁止法, IT

はじめに
世界で最も利用されているインターネット検索エンジンを提供する米グーグル。同社が、独占禁止法に違反したとして、公正取引委員会は排除措置命令を出す方針を文書で通知しました。報道などによりますと、アメリカの巨大IT企業への排除措置命令は今回が初めてとのことです。
グーグル社はスマートフォンメーカーに対して自社アプリの搭載を求めたとして、公正取引委員会から調査を受けていました。
公取委、アプリ搭載をめぐる独占禁止法違反疑いでGoogleを調査(企業法務ナビ)
グーグル社に排除措置命令へ
グーグル社がスマートフォン端末のメーカーに対し、自社の検索アプリなどを出荷時に搭載することを強いるなど独占禁止法が禁じる“不公正な取引”を行ったとして、公正取引委員会は排除措置命令を出す処分案をグーグル社に通知しました。今後、意見聴取を行った上で最終的な処分を判断する見通しです。
グーグル社は国内で販売予定の自社の基本ソフト(OS)「アンドロイド」端末メーカーに対して、専用アプリストア「Google Play」の搭載を許諾。その際に、グーグル社はウェブブラウザーアプリ「Google Chrome」や自社の検索アプリなどを一緒に搭載させた上で、端末のホーム画面の目につきやすい位置に配置するよう指定し、契約を締結したということです。
また、競合他社の検索アプリを搭載しないことを条件に、検索連動型広告サービスを通じて得た収益の一部をメーカー側に支払う契約も結んでいました。
公正取引委員会は、「遅くとも2020年以降、こうした取引によりアンドロイド端末のスマートフォンメーカーがグーグルの競合他社との取引や事業を制限させられた」と判断。独占禁止法が定める「拘束条件付き取引」に当たるおそれがあるとして、2023年10月から審査を行ってきました。
グーグル側は、昨年11月に自主的に改善計画を提出し、「確約手続き」を申し出るなど、排除措置命令の免除を企図していましたが、今回、公正取引委員会は排除措置命令に踏み切った形です。
公取委がアマゾン出品者に情報提供サイト開設
アメリカの巨大IT企業4社、いわゆる「GAFA」に対しては、アメリカやヨーロッパの当局も規制を強める動きを見せています。そうした中で、公正取引委員会は、今回のグーグル社のみならず、アマゾン社に対しても監視の目を光らせています。
アマゾンジャパンは、自社が運営する「Amazon.co.jp」の商品販売ページに「おすすめ出品」の対象となる商品を掲載する表示スペースを設置しています。公正取引委員会は、アマゾンジャパンが同サイトの出品者に対して以下を条件に事業活動を制限している疑いがあるとしています。
(1)当該商品の販売価格を「競争力のある価格」等と称する価格とさせる
(2)「フルフィルメント by Amazon」と称するサービスを利用させる
公正取引委員会は、2024年11月26日に独占禁止法の疑いでアマゾンジャパンに立入調査を行いました。その際、アマゾンジャパン側と出品業者との間で交わされた具体的なやり取りや、販売条件における不当な要求の有無などを詳しく調べたといわれています。
さらに、12月4日には、実態調査のため、出品者から情報や意見を募集する専用ページを設置しました。
アマゾンジャパン合同会社による独占禁止法違反被疑行為に関する出品者からの情報・意見の募集について(公正取引委員会)
コメント
公正取引委員会がグーグル社に通知した処分案では、日本市場における違法な契約の取りやめや再発防止などが求められたとされています。
グーグル社は、12月23日、協議が不十分な中で判断を下されたことに深い遺憾の意を表すると共に、今後行われる意見聴取手続きで、自社の主張を展開していくと発表しました。
公正取引委員会が最終的にどのような処分を決定するか、要注目です。
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