ヤフーが産経新聞社の写真を掲載したことで損害賠償命令を負う!!
2011/06/16 訴訟対応, 民事訴訟法, その他

ヤフーに損害賠償命令が下る!
いわゆる「ロス疑惑」で無罪判決を受けた三浦和義元社長の遺族が、「ヤフー」のニュースに掲載された産経新聞社の記事・写真により精神的な苦痛を受けたとして、ヤフー及び産経新聞社に対して賠償を求めた裁判の判決が確定しました。
詳細
ヤフーは、三浦元社長が自殺したことを伝える記事と共に、三浦氏が殺人未遂容疑で逮捕された際の撮影された写真を産経新聞から配信されてサイトに掲載しました。
三浦社長の遺族はこの写真が記事とは関係の無いものであり、精神的苦痛を受けたとして記事を配信したヤフーと記事を書いた産経新聞社に対して損害賠償を求めていました。
ヤフー側は「新聞社側が『第三者の権利を侵害するものではない』と保証して提供したもの」であり、ヤフー側には過失が無いと主張していました。
これに対して、東京地裁は「ヤフーは人の人格的な利益を侵害するような写真が掲載されないよう注意する義務を負っている」と指摘して、産経新聞とヤフーに合わせて66万円の賠償を命じました。
総括
争点としては、
1、そもそも写真が遺族い精神的苦痛を与えるものか。
2、遺族に精神的苦痛を与えるものだとしても、新聞社から配信された記事を掲載したインターネットサイト管理会社にも責任があるのか
という2点であると考えられる。
本判決では、記事を書いた産経新聞社のみならず産経新聞の記事を配信したサイトであるヤフー側に損害賠償責任を認めた点でめずらしいものであると思います。
その点で上記争点2について少しだけ触れてみたいと思います。
判決はヤフーの責任過失責任を認めたものですが、ヤフーは新聞社から配信されたものをどの程度チェックする義務があったのかということが問題になりました。
このような場合に、いわゆる「配信サービスの抗弁」として配信基と掲載社が報道主体としての一体性が認められる場合には責任を免れられる場合もあります。しかし、これを本件のヤフーと産経新聞社との間で考えると、報道主体としての一体性があるとまではいえないと思われます。
ヤフーなどのポータルサイト以外にも個人のブログ・twitterなどにより情報は拡散し、このような方法による情報収集手段は今後重要になっていくと思われ、ますますプライバシー侵害など個人の利益保護と、知る権利・表現の自由との調整が必要となってくると考えられます。また、ヤフーをはじめとしたネット媒体の情報力が強大化する中でその情報を単に流すのではなく情報内容の精査確認も社会的責任として高まっているといえると思います。
なお争点1について判決は、「20年以上前の手錠姿を掲載する必要性は認められない」として不法行為責任を認めました。
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