岩波書店の芦部憲法 最新第5版
2011/03/30 法務相談一般, 民法・商法, その他
今月、第5版が出て、既に店頭に並んでいるので、すでに手に取った人も多いだろう。今回は、憲法について考えてみるいい機会ではないかと思い、記事を書いてみることにした。
こちらの書籍は、1993年に岩波書店から初版が出版され、現在は、第5版となっている。著者の芦部信喜先生は、すでに他界されており、お弟子さんの高橋和之先生が補訂を行っている。
憲法において、芦部先生の考えは、今現在においても多くの方から支持されており、大学の法学部では、教科書として利用しているところも多い書籍である。
本書の特徴は、簡易な表現で簡潔に憲法論を記しながらも、憲法の根本については、きっちりと押さえられている点にある。読み返すごとに新たな発見もあり、補訂を経て、最新の判例などもフォローされている。司法試験などの受験においても、これ1冊でも十分に対応できるものである。
企業法務において、憲法など、その必要性は薄いのかもしれない。しかし、企業活動と関係する憲法判例も少なからずある。雇用関係についての三菱樹脂事件や、日産自動車事件。出版関連での、長良川リンチ殺人報道訴訟など。
そして、最近の福島原発の報道を見て思うのは、環境権などの人権についてである。こちらは、13条の問題なのか、25条の問題なのかなど、多くの細かい議論はあると思うが、今回の一連の報道を見て感じたのは、特定の人達の犠牲の上に成り立っていることを感じた。
確かに、原子力発電は必要だと思う。それ自体は否定するつもりはないが、東京電力側の対応は、本当に信頼できるものだろうか。現在、福島の原発だけでなく、他の原発についても、いろいろな議論がネット上でも行われている。
安全だということは当たり前なのだが、それと同時に、地域の住民からの信頼性も重要だろう。人権は、平等と自由が根本になるが、信頼の出来ない原子力計画には、ストップということも必要ではないか。そうでなければ、平等ではなく、押し付けとも考えられる。
憲法の本を読みながら、いろんなことを考える機会になればいいと思います。
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