KDDI、沖縄セルラーが通信障害に関するお詫びを公表
2022/08/01   情報セキュリティ

はじめに


KDDIと沖縄セルラーは、2022年7月2日に発生した通信障害について、利用者にお詫びをするとともに、再発防止策の徹底と対象者への返金を発表しました。今回の返金は、契約約款に基づく返金と通信障害のお詫びとしての返金があり、それぞれの内容が公表されています。そこで今回は、通信障害が発生した経緯とその後の対応について詳しく見ていくことにしましょう。

 

7月2日に発生した通信障害について


2022年7月2日(土)1時53分に発生した大規模な通信障害では、長時間にわたり同社の通信サービスが使えない状況になり、多くの混乱が見られました。今回の通信障害により、音声 (VoLTE)では約2,278万人、データ通信 (4G/5G)では765万人以上が影響を受けたと推計されています。

今回の通信障害で影響・被害を受けたのは、一般利用者だけではありません。物流関連で宅配便の配送状況更新や配達ドライバーへの連絡、行政サービスでは気象観測点のデータ収集や水道検針、銀行関連では店舗外のATM利用、交通関連では空港スタッフ用無線機やバスのICカード使用について、それぞれ影響が生じたとされています。

なお、今回の通信障害の原因は、経路誤設定による通信断から位置登録要求信号が大量に発生したため、全国のVoLTE交換機と加入者データベースが輻輳状態になってしまい、その結果全国で音声通話がしづらい状況になったとされています。

 

再発防止策について


KDDIでは再発防止策として、品質・サービス向上に向けた推進体制の向上を掲げています。KDDIによると、今回の大規模な通信障害の発生原因や課題を念頭に、通信ネットワークの安定化と利用者目線の対応強化を最優先課題として設定し、組織横断的な体制として会社の体制を再構築したとしています。

今回再構築したとする組織では、代表の髙橋氏を責任者とする「通信基盤強化並びにお客様対応強化対策会議」が設置されており、作業品質強化、運用強化、設備強化、お客様対応強化の4つのワーキンググループで対策を進めていく考えです。この組織改革により、社内の部署内を横断的に、運用部門、技術・建設部門、カスタマーサービス・広報部門、営業部門が連携するとしています。また、より具体的な再発防止策として、

■メンテナンス作業
(1)作業手順書管理ルール・作業承認手法の見直し
(2)作業リスク評価と作業抑制基準・期間の見直し

■大規模化
(1)VoLTE交換機のより詳細な輻輳検知ツール開発
(2)輻輳制御の設計見直し (点検、計画策定)

■長期化
(1)輻輳発生時の復旧手順の見直し
(2)VoLTE交換機の輻輳解消ツールの開発

■お客様への周知
お客さま目線の情報開示・適時適切な情報提供手法拡充

という4つの項目ごとに、対策を実施中(一部、近日実施予定)としています。

 

返金対応について


今回の大規模通信障害で、KDDIは利用者への返金として2種類の返金を公表しています。

1つ目は、「契約約款に基づく返金」で、KDDIの利用者約271万人、沖縄セルラーの利用者約7万人が対象となります。通信障害期間中、24時間以上連続して全ての通信サービスを利用できなかったことが要件となります。具体的な返金手法としては、契約の料金プランの基本使用料等の2日分相当額を請求額から減算することで対応するとしています。

2つ目は、「通信障害のお詫びとしての返金」で、KDDIの利用者約3,589万人と沖縄セルラー利用者約66万人が対象です。こちらは通信障害期間中にスマートフォン、携帯電話およびホームプラス電話を契約していた全ての利用者が対象で、請求額から200円 (税抜) の減算を行うとしています。

一連の返金による補償の総額は73億円にのぼると言われています。

 

コメント


KDDIでは、返金対象の利用者宛に、8月中旬より順次、SMS (ショートメッセージ)や請求書等で返金の対応についてお知らせするとしています。また、KDDIは返金に関するSMS本文にリンクURL、利用者情報の入力を求める記載は設けないため、同社を装った偽メール・偽SMSに関して注意を呼び掛けています。

KDDI側として、返金対応により、多数の利用者からの損害賠償請求の頻発を抑止する効果が期待できますが、上述のように、今回の通信障害により被害を受けたのは一般利用者のみではありません。音声通話・データ通信が使用できないことで、直接的に業務に支障が生じ、売上減等の具体的な損害に繋がった企業もあると言われています。今回の通信障害によるKDDI側の補償総額は、まだまだ膨らむことが予想されます。

 

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