名前は「ありませんぞう」　謎の男が被告人！！
2011/03/09   訴訟対応, 刑事法, その他

ニュース概要

平成22年11月30日深夜、福岡市博多区のＪＲ博多駅付近で事件は発生。62歳で住所不定無職の男が、全財産だった現金約26万円入りの財布を紛失した。彼はそのままタクシーに乗り、フィッシングナイフ（刃渡り約10センチ）を持ってタクシー運転手男性（当時70歳）から現金を奪おうとした。しかし、実行に移す前に無賃乗車が発覚。大野城市の交番に連れて行かれ銃刀法違反容疑で現行犯逮捕された。
男は捜査当初から氏名や住所についてあいまいな回答をして本名を述べようとしなかった。そこで捜査関係者が戸籍などを調べたが、いくら捜査しても身元の裏付けは取れなかったという。福岡地検は男が自称する名義のままで起訴。その自称名は「ありませんぞう（有馬千造）」。「千造」が本名なのは確かだが「有馬」の名字は何番目かの父親の姓だと男は主張している。検察の冒頭陳述と被告人質問からの情報によると、男は中学を卒業後に家出をし、全国を47年間もの長きに渡って放浪しており、日雇いなどで生計をたてていたという。福岡へはヒッチハイクでやってきて、財布がなくなったのを機に強盗を計画したとされる。
検察側は、危険で悪質として懲役1年を求刑した。しかし、弁護側は「反省しており再犯のおそれはない。47年放浪生活をしていたので、職探しは困難。生活保護を受けさせて更生させたい」と主張していた。
3月8日、福岡地裁で判決。懲役1年。執行猶予4年を言い渡した。名義は自称「有馬千造」のまま。ただ通常、判決は、裁判官が「有馬千造被告ですね」と名前を確認して本人かどうか確かめるが、今回は「被告人は前へ」とのみ述べて判決を言い渡した。

リンク

YOMIURI ONLINE(リンク切れ)