消費者庁がアフィリエイト広告等に関する検討会の報告書を公開
2022/03/28 広告法務, 景品表示法

はじめに
2022年1月28日、消費者庁はアフィリエイト広告等に関する検討会の報告書を公開しました。広告主や広告代理店にとって、アフィリエイト広告に関する国の動向は重要な関心事項になると思います。そこで今回は、本検討会で検討された内容について詳しく解説します。
アフィリエイト広告の市場規模
日本国内のインターネット広告は、6年連続の2桁%成長を続けており、近年増加傾向にあると言えます。報告書によれば、2019年には約2.1兆円となり、テレビメディア広告費の約2.9兆円をすでに超えています。インターネット広告は日本の総広告費に占める割合の30%程度にまでのぼったと言われており、広告市場において大きな存在となっています。また、2020年度の国内アフィリエイト広告の市場規模は、約3258億円規模に達すると見込まれています。
アフィリエイト広告における「注意すべき商材」とは
消費者庁は、アフィリエイト広告の出稿の際に特に注意すべき商材として、「金融系」、「健康食品・化粧品系」、「美容・エステ系」を挙げています。金融系では金融商品取引法や景品表示法、業界団体の自主規制などにより、広告の不当表示と見なされる恐れがあります。また、健康食品・化粧品系では、薬機法・健康増進法・景品表示法・特定商取引法などが、美容・エステ系では、医療法・景品表示法・業界団体の自主規制などに同様の注意が必要です。
アフィリエイト広告に関する報告書の提言
報告書では、悪質な事業者への対応や不当表示の未然防止策について議論されました。まずは、特定商取引法との連携として、事業者が広告主と連携して事業活動を行っている場合は、当該事業者(ASPやアフィリエイターなど)も景品表示法を適用することが必要との見解が示されています。次に、健康増進法及び薬機法との連携については、不当表示を繰り返すASPやアフィリエイターへの措置をどうすべきがが議論されています。ここでは、健康増進法第65条19や薬機法第66条が「何人も」と対象規制を限定していないことから、当該法律を柔軟に活用して虚偽・誇大表示の執行を強化すべきであるとされています。
不当表示の未然防止措置について
本報告書では、アフィリエイト広告における表示の適正化を推進するための考え方として、意図的に消費者を誤解させ、不利益を生じさせようとする広告主等に対しては、厳正な法執行が重要であると述べています。一方で、法的な理解不足が原因で、意図せず不当表示をしてしまう事業者も存在します。このことから、事態を未然に防止するため、景品表示法第26条第1項に基づく措置を講じることが重要であると指摘されています。具体的には、指針におけるアフィリエイト広告の広告主が講ずべき措置に関する考え方の具体化の必要性、具体化する考え方の対象となるアフィリエイト広告の範囲、表示等に関する情報の確認、表示等を管理するための担当者等の決定、担当者への研修の実施などが必要な項目として挙げられています。
コメント
本報告書では、アフィリエイト広告を用いた不当表示に対しては、景品表示法に基づいた厳正な対処を行うことが重要であると指摘されており、アフィリエイト広告であっても他の広告同様厳格な運用が求められていることがわかります。特に、今回挙げられている「注意すべき商材」を扱う広告主は、今回の報告書の内容をよく理解しておく必要があります。また、報告書では、関連する指針等をパブリックコメントで実効性のあるものにするべきとの記載も見られることから、今後運用ルールが変更になる可能性も十分に考えられます。今後の動向に注視が必要です。
消費者庁|アフィリエイト広告等に関する検討会
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