大手出版社4社、海賊版コンテンツの公衆送信・複製差し止め等を求め米国IT企業を提訴
2022/03/18 知財・ライセンス, 著作権法

はじめに
2022年2月1日、講談社を含む4社が米国の IT系企業「クラウドフレア」社(Cloudflare, Inc. 本社 米・サンフランシスコ)を民事で提訴したことを公表しました。今回は、提訴の概要やその背景について解説します。
今回の提訴の背景
今回の提訴は、講談社、KADOKAWA、集英社、小学館の計4社。米国サンフランシスコを拠点とするIT系企業「クラウドフレア」社を相手取り訴えを起こしています。クラウドフレアは国際的な「コンテンツ・デリバリー・ネットワーク(CDN)」事業者のうちの1社ですが、多くのサービスを海賊版サイトに提供しており、今回の訴訟では、海賊版コンテンツの公衆送信、複製の差し止め、そして損害賠償を求めています。損害賠償請求額は各社1作品ずつ、各社合計4作品で被害総額の一部請求として 4 億 6000 万円となっています。
コンテンツ・デリバリー・ネットワーク(CDN)とは
コンテンツ・デリバリー・ネットワーク(CDN)とは、「Content Delivery Network(コンテンツデリバリーネットワーク)」の略であり、ウェブ上のコンテンツを遅滞なく配信できるように構築されたネットワークを指します。CDNでは、オリジナルコンテンツのあるオリジンサーバーから「キャッシュサーバー」がコンテンツのコピーを取得し、オリジンサーバーの代理でウェブコンテンツを配信することができます。これにより、オリジンサーバーの負荷を減少させることができるため、より効率的にコンテンツの配信が可能です。
講談社らの指摘
大手CDN事業者の多くは、契約を締結する際にサイト運営者の身元確認を実施し、サイトが違法なコンテンツ配信を行わないようにチェックしています。一方で、クラウドフレア社のCDN 事業は他と異なり、メールアドレスを登録するだけで簡単に契約することができます。また、一定範囲内のコンテンツであれば無料で利用できます。これにより、サイト運営者はクラウドフレアのサービスに登録することで、氏名や連絡先等などの身元確認に必要な運営者情報を同社に代替させることが可能になっています。講談社らによると、これらの特性から、身元の特定を嫌う海賊版サイトの多くが、クラウドフレア社のCDNサービスを使うようになっているとのことです。これにより、4社はクラウドフレア社を民事で提訴するに至りました。
コメント
海賊版サイトの中には月間で1億以上のアクセスを稼ぎ、広告収入を得ている悪質なサイトも存在します。一般社団法人 ABJによると、海賊版サイトのうち上位 10 サイトで違法に読まれた漫画の小売り額は1年間で1兆円超えになるとしています。また、当該10サイトのうち9サイトでクラウドフレア社の CDN を利用しているとされており、被害は深刻です。4社は著作権侵害が明らかな海賊版サイトを具体的に明示し、海賊版サイト運営者との契約解除などを求めてきましたが、十分な対応がなされなかったとしています。実際に、2019年6月には、4社が指摘した海賊版サイトにおける著作権侵害に関して、裁判所が侵害を認めた場合、クラウドフレア社は日本のクラウドフレア社のサーバにコンテンツを複製することを禁じるという条件のもと、一度クラウドフレア社と和解を成立させていました。今後は、漫画家や創作者の権利侵害がどこまで認められるのか、今後の結果に注目が集まっています。
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