中電に新たな談合疑い 公取委の立ち入り調査
2021/10/07 独禁法対応, 独占禁止法, その他

はじめに
公正取引委員会が今年に価格カルテルの疑いで中部電力などを対象に立ち入り検査をしましたが、9月5日、顧客の受注調整などの談合をしたとして新たに独禁法違反(不当な取引制限)の疑いで、公取委は中電と子会社の「中部電力ミライズ」、東邦ガスを立ち入り検査しました。
事案の概要
電力やガス販売が自由化されて以降、電力会社の談合絡みのニュースが後を絶ちません。本件の関係者によりますと、中部地区におけるオフィスビルや大規模工場向けの特別高圧電力等の大口契約に関して顧客の受注を調整した疑いを持たれています。
不当な取引制限とは
不当な取引制限は,独占禁止法第3条で禁止されている行為です。不当な取引制限に該当する行為には、「カルテル」と「入札談合」があります。「カルテル」は、事業者又は業界団体の構成事業者が相互に連絡を取り合い、本来、各事業者が自主的に決めるべき商品の価格や販売・生産数量などを共同で取り決める行為です。「入札談合」は国や地方公共団体などの公共工事や物品の公共調達に関する入札に際し事前に、受注事業者や受注金額などを決めてしまう行為です。本件で中電等はカルテルをした疑いを持たれています。
不当な取引制限の罪に当たる要件
①他の事業者と共同したこと②事業活動を相互拘束したこと③公共の利益に反したこと④一定の取引分野における競争を実質的に制限したこと⑤公正取引委員会の告発(独占禁止法96条1項)の以上5点になります。要件を満たすか問題となりやすいのは要件①②④となります。①については、「共同した」といえるか問題となり得ますが、行為が外形的に一致しているだけではなく、意思の連絡がなければ「共同した」とは認定されません。②については、競争関係にある事業者が、相互にその事業活動を拘束し、制限が各事業者に共通することが必要となります。④については、「競争を実質的に制限」されているとは、競争自体が減少して、特定の事業者又は集団が、その意思である程度自由に価格・品質・数量その他各般の条件を左右することによって、市場を支配することができる形態が現れているか、又は少なくとも現れようとする程度に至っている状態のことをいいます。
コメント
企業法務従事者としては、自社の社員が談合等をしないように法内容を周知させ、違法行為の抑止に努めるべきでしょう。
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