NTT東日本 FTTH事件で独禁法違反!!最高裁が「ニューファミリータイプ」を私的独占と認める。
2010/12/21   独禁法対応, 独占禁止法, その他

1 事件の概要

平成22年12月17日、最高裁判所第二小法廷は、NTT東日本に対して、同社のFTTHサービス「Bフレッツ・ニューファミリータイプ」について私的独占を認める判決をした。
同サービスは、平成19年に公正取引委員会(以下、「公取委」という。)が私的独占を認めた事件で、その拒否を巡って争っており、独禁法違反を認めた高等裁判所の判決内容が最高裁判所によって確認された形だ。

2 事件の経緯

2003年11月12日;総務省が、NTT東日本のFTTHサービス「Bフレッツ・ニューファミリータイプ」に対して電気通信事業法に違反する恐れがあるとして行政指導を行う。
2003年12月4日;公取委が、NTT東日本のFTTHサービス「Bフレッツ・ニューファミリータイプ」について私的独占による排除勧告及び警告を行う。
2007年3月29日;公取委が、同サービスについて独占禁止法違反だとして違反宣言審決を下す。
2007年4月26日;NTT東日本は、違法宣言審決を不服として審決取消訴訟を提起。
2009年5月29日;東京高裁が、同サービスについて独禁法違反(私的独占)を認める。NTT東日本は、これを不服として上告。
2010年12月17日;最高裁が、同サービスについて独禁法違反(私的独占)を認めて東京高裁判決を支持し、上告を棄却。同サービスの料金設定行為が、私的独占(排除型私的独占)に該当すると認める。

3 判決の骨子

NTT東日本が提供している「Bフレッツ・ニューファミリータイプ」のサービス内容が、光ファイバーを最大32分岐することを前提に設計されたものでありながら、実際には分岐せず芯線直結方式で提供していると認定。
2005年4月の料金値下げにより、NTT東日本が他社に光ファイバー1芯を提供する料金よりも、ニューファミリータイプを安くユーザーに提供したことを認定。この料金設定は、他社の料金設定を推測して設定されたものであると認定。
NTT東日本の料金設定行為が、「競争を実質的に制限する」かを詳細に検討。その際、①市場シェアが高いこと(82%以上)及び、市場での優位性が高いこと、②競業者の数が少ないこと(寡占市場であること)、③FTTHサービスが他のブロードバンドサービスとの代替性が無いこと(ADSL等と比較)、FTTHサービスから他のサービスへの移行は通常しないこと、④料金設定期間が長期間継続的に行われたこと、等を認定。
当該料金設定が、接続料より低い価格で行われると競業者のFTTH市場への参入を著しく困難にするとし、「競争を実質的に制限する」と認めた。

4 問題の背景

消費者にとってはブロードバンドサービスがどの業者であるかは然程問題ではない。消費者が興味があるのは「値段」「性能」である。
だが、それでは資金力の強い企業によって、当該業界の商品を独占されてしまう。業界が一社によって独占されれば、企業間の競争が行われなくなり、引いては当該一社によって価格が引き上げられるということもあり得る。
このような競争が行われていない状態では一般消費者の利益にならない状態となり得るため、それを規律しているのが「独占禁止法」である。
今回、NTT東日本は独占禁止法違反が認定され排除措置命令が下されているが、私的独占の類型のうち「排除型私的独占」と呼ばれるもので課徴金納付命令の対象とはなっていない。そして、NTT東日本は公取委による勧告・警告後も継続して独禁法違反行為をしており、それによって不法に得た利益はNTT東日本が保有したままである。
このような「やり得」を避けるために近年独禁法の改正が行われているが、日本の独禁法はまだまだ規制が甘いと言わざるを得ない。より厳しく取り締まれるような法改正が望まれるところである。

5 関係条文

[独占禁止法]
第1条  この法律は、私的独占、不当な取引制限及び不公正な取引方法を禁止し、事業支配力の過度の集中を防止して、結合、協定等の方法による生産、販売、価格、技術等の不当な制限その他一切の事業活動の不当な拘束を排除することにより、公正且つ自由な競争を促進し、事業者の創意を発揮させ、事業活動を盛んにし、雇傭及び国民実所得の水準を高め、以て、一般消費者の利益を確保するとともに、国民経済の民主的で健全な発達を促進することを目的とする。

第2条5項 この法律において「私的独占」とは、事業者が、単独に、又は他の事業者と結合し、若しくは通謀し、その他いかなる方法をもつてするかを問わず、他の事業者の事業活動を排除し、又は支配することにより、公共の利益に反して、一定の取引分野における競争を実質的に制限することをいう。

第3条  事業者は、私的独占又は不当な取引制限をしてはならない。

第7条  第三条又は前条の規定に違反する行為があるときは、公正取引委員会は、第八章第二節に規定する手続に従い、事業者に対し、当該行為の差止め、事業の一部の譲渡その他これらの規定に違反する行為を排除するために必要な措置を命ずることができる。

第7条の2 第2項  前項の規定は、事業者が、私的独占(他の事業者の事業活動を支配することによるものに限る。)で、当該他の事業者(以下この項において「被支配事業者」という。)が供給する商品又は役務について、次の各号のいずれかに該当するものをした場合に準用する。

6 関連リンク

公取委、Bフレッツ「ニューファミリータイプ」に違反宣言審決
NTT東日本、公取委の独占禁止法違反審決に関する取消訴訟を提起
FTTHとは(ウィキペディア)
<ahref="http://e-words.jp/w/FTTH.html">FTTHとは(Fiber To The Home)
最高裁第二小法廷判決(平成22年12月17日)

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