勤務先クラスター死亡で訴訟提起
2021/09/30 労務法務, 労働法全般, その他

はじめに
夫とその高齢の母親が新型コロナウイルスに感染し死亡した原因は職場において安全配慮義務を怠りクラスターを発生させたためだとして、妻を含む遺族らが、夫の勤務先であった一般財団法人「防衛技術協会」に対して約8700万円の損害賠償を求める訴訟を提起しました。
事案の概要
訴状によると昨年3月に男性の勤務先でクラスターが発生し、4月に男性の感染が明らかとなり、その後同居する母親も感染し、母親及び男性が病院で亡くなりました。遺族らは感染予防措置を講じていれば男性の感染はなかったと主張しており、協会側は業務中にコロナに感染したと特定することは困難であると主張しています。
安全配慮義務とは
安全配慮義務とは、従業員が安全かつ健康に労働できるようにするため、企業が負う義務のことをいいます。安全配慮義務を実施するために企業が行うべきことは、具体的に法律で定められておらず、従業員が安全に働けるようにするためにどのような処置が必要か、企業は対策を講じる必要があります。具体的には、作業環境の整備と健康管理によって作業員の安全な業務の遂行を確保することとなります。作業環境の整備とは、業務に使用する機器のメンテナンスなどの安全確保に必要な措置を意味します。次に、健康管理とは、従業員の心身の安全を図るために長時間労働を防止したりメンタルヘルスのチェックをしたりすることを意味します。
安全配慮義務違反した場合
安全配慮義務違反により債務不履行責任(民法415条)や不法行為責任(民法709条)又は使用者責任(民法715条)を負い、労働者に対して損害賠償等の責任を負うこととなります。安全配慮義務違反に当たる場合とはどのような場合かイメージしづらいと思われるので、例を挙げます。例えば、2~6か月の平均残業時間が80時間を超えたり、1か月の残業時間が100時間を超えたりするなど、過労死ラインを超えていた場合には、過労が原因で健康に支障が生じれば安全配慮義務違反と認定されることがあります。
コメント
企業にとって従業員は貴重な財産であると同時に、扱いを誤ってしまうと会社に多大な損害をもたらす存在でもあります。企業法務従事者としては、安全配慮義務について正しく理解し、現在の従業員の扱い方が正しいのか見直すとよいかもしれません。
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