ディノスに課徴金、優良誤認と打ち消し表示について
2021/06/24 広告法務, 消費者取引関連法務, 景品表示法, その他

はじめに
筋肉に電気刺激を与えるベルトを「短期間で痩身効果がある」とうたって販売していた通販大手「DINOS CORPORATIOM」に対し消費者庁は18日、1431万円の課徴金納付命令を出していたことがわかりました。
表示に根拠がなく優良誤認に当たるとのことです。今回は景表法の優良誤認表示と打ち消し表示について見ていきます。
事案の概要
消費者庁の発表などによりますと、ディノスは2017年~19年にかけて「クワトロビード」「TBCスレンダーパッドBE」と称する商品について同社サイト上の動画で「ウエスト(へそ周り)-15.4cm」などと表示し、本製品を使用すれば電気刺激によって筋肉が刺激され4週間で腹部の痩身効果が得られるかのように宣伝していたとされます。
これに対し消費者庁は期間を定めて表示の裏付けとなる根拠の提出を求めたところ、合理的な根拠は得られなかったとのことです。また同社は本動画で「※個人差があり結果を保証するものではありません」と打ち消し表示をしていたとされます。
景表法の規制
景品表示法5条1号では、事業者が自己の供給する商品・サービスの品質、規格、その他の内容について、実際のものよりも著しく優良であると示したり、事実に反して競争他社のものより著しく優良であると示すことは不当表示行為として禁止されております。これを一般的に優良誤認表示と呼び、実際には走行距離10万kmなのに3万kmと中古自動車のメーターを戻したり、ノーブランド牛肉を国産有名ブランド品と表示するといった行為が典型例として挙げられております。
なおこれに似た不当表示として有利誤認表示というものも存在しますが、こちらは価格その他の取引条件に関して実際よりも著しく有利であるかのように表示する行為を指します。
違反した場合
景表法違反の疑いが生じた場合は消費者庁はその調査に乗り出します。その際消費者庁長官は該当事業者に対して期間を定めて表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができ、期間内に提出が無い場合や、提出された資料が合理的な根拠を示すものと認められない場合は不当表示とみなされたり、推定されることとなります(7条2項、8条3項)。
不当表示行為に対してはその行為の差止や再発防止等を命じる措置命令や、課徴金納付命令が出されることとなります(7条、8条)。
課徴金は3年間を上限として対象商品の売上額の3%となり、その額が150万円未満であれば免除されます。事業者が所定の手続きに沿って自主返金した場合は減免されます(10条、11条)。また違反行為を自主申告していた場合も50%減額されます(9条)。
打ち消し表示について
自社の商品やサービスについて断定的に強調したりする強調表示は事実に反しない限り問題ありません。
しかし無条件・無制約に当てはまるものと消費者に誤認されないよう「効果には個人差があります」などの打ち消し表示も見やすく表示する必要があります。
消費者庁のガイドラインでは、適切な打ち消し表示と認められるかの判断は、文字の大きさ、配置箇所、強調表示との文字のバランス、背景の区別、動画の場合は表示時間、音声等による表示の有無、Web公告の場合は強調表示と1スクロール以上離れているか、他の画像等に注意が引きつけられているか等から総合的に判断するとされます。
コメント
本件でディノスは「クワトロビート」「スレンダーパッドBE」について動画で1日20分装着するだけで4週間でウエストが-15.4cmなどの成功例を挙げ、その際画面内に小さく「※個人差があり結果を保証するものではありません。」と表示しておりました。
消費者庁に提出された資料も効果を裏付ける合理的なものではなく、また打ち消し表示も一般消費者が表示から受ける認識を打ち消すものではないと判断されました。
以上のように製品広告等に劇的な効果を示すような表示は合理的な根拠を示すことが出来ない場合優良誤認表示となる可能性があります。また打ち消し表示も小さく画面端等に表示するだけでは適切なものと認められない可能性が高いと言えます。
これらを踏まえ自社製品の表示について今一度見直しおくことが重要と言えるでしょう。
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