消費者庁、「夢グループ」にマスク販売巡り課徴金納付命令 (有利誤認表示)
2025/03/26 コンプライアンス, 行政対応, 広告法務, 景品表示法

はじめに
マスクの販売価格などが広告と異なったとして、消費者庁は3月21日、通信販売会社、株式会社夢グループに対し、景品表示法違反(有利誤認)に基づく課徴金納付命令を出しました。
夢グループ 課徴金6千万円超
消費者庁の発表などによりますと、夢グループは2020年3〜4月、新聞上に「立体マスク30枚セット3,600円(税抜)」「本日の広告の有効期限5日間」という内容の広告を掲載し、『掲載日から5日間に限り、3,600円(税別)で、商品を購入できる』かのような表示を行っていました。
しかし、実際には他にも送料や手数料の負担が必要であった上、5日間が過ぎた後も同じ条件で購入することができたということです。
消費者庁は、こうした表示が景品表示法違反(有利誤認表示)に当たるとして、夢グループに6589万円の課徴金納付命令を出しました。
この命令を受け、夢グループは「今後は分かりやすい広告を心がけたいが、消費者庁の認定には納得いかない点があり、不服申し立てを検討している」と取材に答えています。
問題となった広告が掲載されたのは、新型コロナウイルスの感染が拡大し始めた時期でしたが、当該期間中のマスクの売上は約21億9660万円にのぼったと言われています。
有利誤認表示とは
景品表示法が禁じる「有利誤認表示」とは、商品やサービスの価格などの取引条件について、実際のものや事実に相違して競争事業者のものより著しく有利であると一般消費者に誤認される表示のことです。有利誤認表示の一例として、“不当な二重価格表示”があります。
二重価格表示とは、事業者が自己の販売価格に当該販売価格よりも高い他の価格を併記して表示することです。二重価格表示は、適切に活用することで消費者が商品を選びやすくなるメリットがあります。
一方で、比較する元の価格が正しく表示されていない場合、消費者に誤解を与える可能性があり、「有利誤認表示」に該当するおそれがあります。
典型的な事例として、『期間限定』などと表示し、限定的な価格の低さをアピールしておきながら、実際には当該期間を過ぎても期間限定価格と同じ価格で販売が続くケースなどが挙げられます。
景品表示法違反について
景品表示法違反の疑いがある場合、消費者庁が調査を実施します。違反行為が認められた場合、その事業者へ措置命令を出します。違反の事実がない場合にも、違反のおそれがある場合には「警告」、違反につながる可能性があれば「注意」の措置が講じられます。
課徴金対象行為をした期間(上限3年)の該当商品・サービス等の売上金額が5000万円以上ある場合には、売上金額の3%に相当する額の課徴金納付命令が出されます。なお、万が一、事業者が知らずに景品表示法に違反してしまった場合で、なおかつ知らないことにつき事業者に過失がない場合は課徴金納付命令は発せられません。
コメント
夢グループの事案では「期間限定価格」と見せかけた販売方法で、実態と異なる取引条件が表示されていた点などが問題視されました。
自社での広告、販促の際に割引価格の設定や有効期限の表示を行う場合、実際の販売条件と齟齬がないか、十分な確認が必要です。
特にキャンペーンや期間限定表示を行う際は「送料別」、「終了日」、「通常販売価格」などを適正に表示することが大切です。
【参考】株式会社夢グループに対する景品表示法に基づく課徴金納付命令について(消費者庁)
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