タバコ値上げの思わぬ落とし穴、財務省指導で大型キャンペーン中止相次ぐ‐QUICPayに続き、ローソンも
2010/10/01 コンプライアンス, 業法対応, 民法・商法, 流通

財務省は30日、コンビニエンスストア大手のローソンに対して、28日から実施していた、3,000円以上の買い物をした利用客に50円分のクーポン券を配布するキャンペーンが、たばこの値引き販売を禁じた「たばこ事業法」に抵触するおそれがあるとして、口頭で指導したことを明らかにした。これを受けて、同社は30日までにキャンペーンを中止する事態となった。
ローソンは、10月1日からの値上がりに伴うたばこの駆け込み需要がピークを迎える28~30日の3日間限定でこのキャンペーンを実施。計3,000円以上の買い物をした場合、レシートに50円分の買い物ができるクーポンを印字して配布していた。 クーポンではたばこを買うことはできないものの、たばこを購入した客もクーポンを受け取れるようになっていたことから、インターネット上で「実質的にたばこを割り引き価格で買える」と話題になっていたほか、一部メディアにおいてもこのキャンペーンが取り上げられるなどしていた。
財務省は「クーポン券の配布はおまけとは違い、値引き販売に当たる恐れがあり、見過ごせないと判断した」としているが、ローソンは「たばこの需要減が見込まれる10月以降に来店してもらうのが目的だった」と、値引きの意図はなかったことを強調している。
財務省は業界団体の日本フランチャイズチェーン協会に、本件同様の取引をしないようにとの注意喚起を行った。しかし、ローソンが指導の対象となった一方で、セブン‐イレブン・ジャパンやファミリーマートも30日まで限定で、レシートでデジタル家電が当たるキャンペーンや対象商品が特定されているものの、ローソン同様の形で値引きになるクーポン配布を行っており、財務省の判断の不明確性が指摘される事態となっている。
「たばこ事業法」を巡っては、先月、後払い方式の電子マネー「QUICPay(クイックペイ)」サービスを行うクレジットカード会社などが、購入額の5%分を還元する予定だったキャンペーンを中止する事態も起こっている。このキャンペーンは、たばこの買いだめ需要を狙ったものではなく、「QUICPay」の普及を目指して「クイック」にかけて9月19日に行うことが予定されていたものであった。
今回のタバコ税増税、そして過去最大のタバコ小売価格の値上げを巡っては、小売での駆け込み需要のみならず、値上げを機に廃業を決めるタバコ店も出現し、また、禁煙外来の受診者が急増し、禁煙グッズの売り上げが向上するなど、様々な影響が出ているが、思わぬ形でも影響が現れる形となった。
法務担当者にとっては、新規キャンペーンを行う際、様々な法に抵触するかどうかを確認するのは必須事項であるが、一見関係なく思えるような法令でも、こうした落とし穴がある場合もあり、注意が必要となろう。
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