1月1日から施行、改正育児介護休業法施行規則について
2020/11/18 労務法務, 労働法全般, その他

はじめに
子の看護休暇・介護休暇が時間単位で取得できるようになる、改正育児介護休業法施行規則が2021年1月1日から施行となります。これまで取得できなかった労働者もフレキシブルに取得できるようになるとされます。今回はその改正の概要を見ていきます。
改正の経緯
近年、社会の高齢化が進み、認知症患者など要介護者を抱える労働者が急激に増加しております。家族の介護のため退職を余儀なくされる労働者も少なくないと言われております。そこで介護と仕事を両立する施策が急務となっておりました。介護休業や介護休暇の期間の延長案なども提唱されましたが、通院付き添いなど数時間で事足りる場合も多いことから、時間単位の小刻みな休暇の取得が検討され2020年1月7日に改正省令等が公布されることとなりました。子の看護についても同様の扱いとなっております。
改正の概要
今回の改正は育児介護休業法自体の法改正ではなく、現行法の範囲内における省令等の変更となります。現行の扱いでは育児や介護を目的とする休暇は半日単位での取得となっており、1日の所定労働時間が4時間以下の労働者は取得できないこととなっております。改正後は「時間単位」での休暇の取得が可能となり、「全ての労働者」が取得可能となります。ここに言う時間単位とは1時間の整数倍を言うとされ、労働者の希望する時間単位で取得できることとなります。法令上は「中抜け」による休暇取得までを求めておりませんが、厚労省は中抜けを認める配慮を推奨しております。なお「中抜け」とは就業時間の途中から休暇を取得し、再び就業時間内に戻ることを言います。
対象外労働者
今回の改正では1日の所定労働時間が4時間以下の労働者も休暇取得が可能となりましたが、労使協定により対象外とすることができる場合があります。まず①入社6ヶ月未満の者、②1週間の所定労働日数が2日以下の者です。そして次に一定の業務内容によって除外できる場合です。厚労省の例示では国際線や長距離路線の航空機の乗務員や操縦士、運輸業務、長時間の移動を要する遠隔地業務、流れ作業による業務、交代制業務などが挙げられております。これら以外でも休暇取得が困難な場合には該当するとされております。なお厚労省指針では①と②についても一定の日数については取得を認める取り扱いが望ましいとされております。
その他の注意点
看護・介護休暇は1年に5日を限度として取得することができますが、今回の改正でかなり細かく細分化して取得できるようになります。つまり当該労働者の所定労働時間分の休暇を取得した時点で「1日分」となります。なお1時間に満たない端数がある場合は切り上げとなります。たとえば1日の所定労働時間が7時間30分の労働者の場合、8時間分取得で「1日分」となるとされております。また年度の途中で所定労働時間を短縮した場合、残りの取得可能日数の1日に満たない端数時間はその変更割合に比例して短縮されますが、1時間に満たない端数は繰り上げとなります。
コメント
以上のように、来年1月1日から育児や介護を目的とする休暇は時間単位で取得できるようになります。またこれまで取得できなかった1日の労働時間が4時間以下の労働者も取得可能となります。これに伴い就業規則も改定が必要となってきます。既に分単位での休暇取得を認めている会社は法令よりも有利な条件を規定していることから改定は不要です。逆に時間単位に改める場合は労働者に不利な変更となることから注意が必要です。また上記のように中抜け休暇の規定は任意となりますが、厚労省では規定を設けることを推奨しております。なお業務内容上時間単位での取得が困難な場合は労使協定が必要となります。これらの時間単位の休暇を有給で導入した場合は一定の要件のもと助成金が支給される場合もあります。厚労省のHPなどを参考に、正確に制度を理解しておくことが重要と言えるでしょう。
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