三菱電機が年40円配当、剰余金配当について
2020/01/23   商事法務, 会社法

はじめに

 三菱電機は2020年3月期の配当を前期と同じ40円程度とする方針であることがわかりました。同時に自社株買いも検討しているとのことです。今回は株主還元の一つであり剰余金配当について見直していきます。

事案の概要

 日経新聞電子版によりますと、三菱電機は昨年10月に今期の業績見通しを下方修正し、今期の連結純利益は前記比7%減であったとされます。しかし同社では中間配当が前記と同じ14円で、期末配当も26円前後と前記の配当水準を維持していく方針とのことです。またこれまで否定的であった自社株買いについても株主還元策の一つとして機動的に実施していく方針とされております。安定的な配当を維持していくことが基本方針となっております。

剰余金配当と分配可能額

 会社は分配可能額の範囲内で年に何度でも剰余金配当を行うことができます(会社法453条)。それではこの分配可能額とはどのようなものなのでしょうか。会社法461条1項、2項や会社計算規則149条では非常に複雑な計算方法が規定されており一読しても理解することは困難なものとなっておりますが、原則的には貸借対照表の純資産の部に計上される「その他資本剰余金」と「その他利益剰余金」を合計し、そこから自己株式の額を控除したものが分配可能額となります。なお純資産額が300万円未満である場合、または配当することによって300万円未満となってしまう場合には配当はできません(458条)。また準備金の額が資本金の25%に達するまで、配当額の10%を積み立てる必要があります(445条4項)。

剰余金配当の手続き

 剰余金を配当する場合はその都度株主総会の普通決議で、①配当財産の種類と額、②割当事項、③効力発生日を決定します(454条1項)。現物配当で株主に金銭分配請求をさせない場合には特別決議が必要となります(454条4項、309条2項10号)。現物配当とは金銭以外の、例えば子会社の株式などを配当する場合を言います。自社株を現物配当することはできません。なお会計監査人設置会社で取締役の任期が1年以内の場合は定款に定めることによりこの決定を取締役会に委任することができます(459条1項)。またさらに定款に定めることによって株主総会では決定せず、完全に取締役会のみで決定していくこととすることも可能です(460条1項)。

中間配当

 上記の取締役会への委任とは別に中間配当というものがあります(454条5項)。定款に定めることによって、1事業年度につき1度だけ取締役会決議によって配当を行うことが可能です。この場合には会計監査人は必要ありません。また配当財産は金銭のみとなっており、資本金の25%に達するまで配当額の10%を積み立てることも同様に必要となってきます。旧法では1事業年度を1年とする会社のみ可能でしたが現在ではその要件はなくなっております。

コメント

 三菱電機では通常の配当に加え中間配当も行っており、今期も前記同様に合計で40円前後の配当を予定しているとのことです。また株主還元として自社株買いも検討しているとされます。自社株買いとは市場に出回る自社の株式を買い上げることで、いわゆる自己株式の取得です。会社法の手続きを踏む必要がありますが、自社株買いをすることによって市場に流通する自社の株式が減少し、1株あたりの価値が上昇することとなり既存株主に利益となります。このように通常の剰余金配当だけでなく自己株式の取得によっても株主に還元していくことは可能となります。利益の配当は株主、特に個人株主にとって重要な関心事となっております。どのような手続きが必要か、またそもそも分配できる剰余金は存在するのかなど、常に確認して備えておくことが重要と言えるでしょう。

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