LINEモバイルに課徴金、インターネット表示と優良誤認について
2020/01/14 広告法務, 景品表示法

はじめに
消費者庁は先月27日、格安スマートフォン事業を手掛ける「LINEモバイル」(新宿区)に対し課徴金243万円の納付を命じていたことがわかりました。同社通販サイトでの優良誤認表示があったとのことです。今回はインターネット表示における景表法の優良誤認表示について見ていきます。
事案の概要
報道などによりますと、LINEモバイルは2017年11月~2019年1月に同社通販サイトで「エントリーパッケージ」を購入すれば申込時の登録事務手数料3000円がすべてのサービスで不要になるかのような表示をしていたとされます。しかし実際には表示と離れた場所にエントリーパッケージの説明があり、「データSIM」または「音声通話SIM」で利用できる旨が記載されており、「LINEフリープラン」には利用できないこととなっていたとのことです。これに対し消費者庁は措置命令および243万円の課徴金納付命令を出しました。
優良誤認とは
景表法では「商品又は役務の品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良である」と表示する行為を不当表示行為の一つとして禁止しております(5条1号)。消費者庁は事業者に対し立入検査、帳簿等の提出、関係者に質問などの調査行為ができ(29条)、優良誤認が判明した場合には措置命令、課徴金納付命令を出すことができます(7条、8条)。また虚偽の報告、虚偽の物件の提出など調査妨害を行った場合は1年以下の懲役、300万円以下の罰金、措置命令に違反した場合には2年以下の懲役、300万円以下の罰金となっております(36条、37条)。
インターネット上の表示に関して
近年インターネット上の表示に関して、景表法等の法令違反事例が増加しております。消費者庁はインターネット上の表示は特に消費者の誤認を招きやすい性質があることから、商品・サービスの効果、性能を標ぼうする場合には十分な根拠なく効果性能があるかのような表示をしないよう呼びかけております。また表示上の留意事項としてハイパーリンクはリンク先が明確に分かるよう具体的に表示する、消費者が見落とさないように文字の大きさ、配色等を明瞭にし、関連情報の近くに配置すべきであり、情報の更新についても更新時および更新箇所を正確かつ明瞭に表示すべきとしています。
問題となるインターネット上の広告例
消費者庁によりますと、インターネット上の広告表示で問題となりうるものとして、「送料無料」と大きく強調して表示した上でハイパーリンクで小さく「送料が無料になる配送地域は東京都内に限ります」といった表示をする場合が挙げられております。また60分以上利用した場合に限り30分無料になるにもかかわらず単に「30分無料」と表示する場合や、通信速度が保障されていないにもかかわらず「通信速度最大◯◯Mbps」などと表示する場合も景表法等の法令に違反する可能性があるとされております。
コメント
本件でLINEモバイルは実際には「データSIM」「音声通話SIM」に限り手数料が無料になるにもかかわらずその旨を「よくある質問」の中に記載し、エントリーパッケージ購入者は手数料が無料になる旨表示していたとされます。消費者庁はこのような表示は一般消費者の表示から受ける対象商品の内容に関する認識を打ち消すものではなく、全てのサービスで手数料が無料になると誤認しうるとして優良誤認に当たるとしました。以上のように近年インターネットでは消費者に有利な事実のみを大きく強調し、不利益な情報は小さく表示するといった広告表示が後をたたないと言われております。上でも書いたようにこのような表示は景表法などの法令に違反する可能性が高く、消費者庁の調査を受ける可能性が高いと言えます。自社の製品・サービスを自社サイトで広告している場合にはこのような表示となっていないか今一度確認しておくことが重要と言えるでしょう。
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