関電社長らが金品授受、会社法の贈収賄とは
2019/10/02 コンプライアンス, 会社法

はじめに
関西電力の会長や社長など同社幹部ら6人が多額の金品を受け取っていた問題で筆頭株主である大阪市の中尾副市長は株主代表訴訟や臨時株主総会を検討していると厳しい姿勢を示しました。
また贈収賄などにも該当するのではとの声もあがっております。
今回は会社法が規定する贈収賄について見ていきます。
事案の概要
報道などによりますと、関西電力の八木会長や岩根社長らの同社幹部6人が2011年から2018年にかけて高浜原子力発電所のある福井県大飯郡高浜町の元助役から計約3億2千万円の金品を受け取っていたことが国税局の税務調査で発覚したとされます。
資金源はいわゆる「原発マネー」で、地元の有力者を経てその一部が関電の幹部に還流していたのではないかと言われております。
関電筆頭株主である大阪市は同社幹部に説明責任を果たすことを求めているとのことです。
会社法上の問題点
会社役員等が他社から金品等の授受を行った場合、会社法上どのような点が問題となるのでしょうか。
通常このような場合に問題が生じるのは刑法によって贈収賄罪が規定されている公務員ですが、一定の場合には取締役などの会社役員にも問題が生じてきます。
会社法967条では取締役等の贈収賄罪が規定されており罰則が置かれております。
またそれ以外にも960条の特別背任罪が問題となるものと思われます。
以下具体的に見ていきます。
会社法の贈収賄罪
会社法967条では取締役、会計参与、監査役、執行役、発起人、支配人、清算人などの役員等は「その職務に関し」「不正の請託を受けて、財産上の利益を収受」「要求」「約束」をした場合5年以下の懲役または500万円以下の罰金が規定されております。
刑法の場合はただ受け取っただけで成立しますが、会社法の場合は「不正の請託を受けて」受け取った場合のみとなります。
職務上の地位に伴う不正を依頼された場合ということです。
また受け取るものも刑法では人の欲望をみたすあらゆるものが含まれますが、会社法では「財産上の利益」と限定されております。
会社法の特別背任罪
会社法960条によりますと、取締役、会計参与、監査役、執行役、発起人、支配人、清算人などの役員等は「第三者の利益を図り」または「会社に損害を加える目的」で「その任務に背く行為」を行い「会社に財産上の損害」を加えた場合に10年以下の懲役、1000万円以下の罰金またはこれらの併科となっております。
「任務に背く行為」とは誠実な取締役等としてなすべきものと法的に期待されているところに反する行為と言われております。
典型的には不良貸付や粉飾決算、会社との自己取引などが該当するとされます。
贈収賄に比べ範囲が広いものと言えます。
コメント
本件で関電幹部らは3億円以上の金品を授受していたとされております。
その原資や経緯など詳しいところは明らかとなっておりませんが、原発工事発注に絡む不正な資金などであった場合はそれを受け取ること自体任務違背行為にあたる可能性があるといえます。
とはいえ会社法の贈収賄罪はこれまで適用された例がほとんど無く、特別背任で処理される可能性のほうが高いと言えるのではないでしょうか。
以上のように会社法では役員等の贈収賄罪が規定されております。
強い公共的公正さが求められる公務員と違い会社役員は民間人ではありますが、その強い権限と影響力などから一定の公正さが求められております。
公務員ではないからと安易に考えず、金品等の授受にはこのような危険も含まれているという点を留意しておくことが重要と言えるでしょう。
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