消費者庁が事業者名を公表、消費者安全法について
2017/11/01   コンプライアンス

はじめに

消費者庁は30日、「写真を投稿するだけで稼げる」などとうたい高額な情報商材を売る手法に問題があるとして、消費者安全法に基づき「アイデア」(東京都)の事業者名等を公表・注意喚起を行ないました。同社は約8億円を売り上げていたとのことです。今回は消費者安全法について概観します。

事案の概要

報道などによりますと、「アイデア」は「カシャカシャビジネス」と称して写真共有アプリ「インスタグラム」に投稿した写真が売れると説明し、ホームページ上でマニュアルを2万円で販売していました。その際「あなたの写真が、今すぐお金に変わる!」「3日間で3万円!日給五万円、月収で150万円を現実的に目指せる」「この方法で、月収200万円以上稼いでいる人もいます。」などと表示し、成功者の体験談なども多数掲載されておりました。希望者には電話説明の予約を行わせ、電話でさらに7~150万円の特別コースの加入を執拗に勧誘していたとのことです。消費者庁の調査によりますと、同社はインスタグラムで3日間で50人以上のフォロワーを集めた消費者には報酬3万円を支払って信用させていたとされます。またホームページに掲載されていた成功者の体験談は全て虚偽であったことが確認されております。同社は現在廃業を申立ており、ホームページも閉鎖されております。

消費者安全法による規制

消費者安全法は自治体による消費生活相談や消費生活センターの設置、消費者安全調査委員会による調査・措置などにより消費者被害を防止し消費者が安全で豊か消費生活を営むことができる社会を実現することを目的としております(1条)。行政機関や自治体、消費生活センターは消費者に重大事故等が発生した旨の情報を得た時は内閣総理大臣に通知し(12条)、内閣総理大臣は迅速に情報収集と分析を行ない、自治体等への報告と公表、国会への報告などを行ないます(13条)。また消費者安全調査委員会も消費者事故が生じた場合には事故原因等の究明のため調査を行ないます(23条1項)。必要があれば関係者に報告させ、また現場や事務所等に立入検査を行ない、また関係物件を提出させたり保管を命じることができます(同2項各号)。

消費者被害防止のための措置

内閣総理大臣は消費者事故等の発生に関する情報を得たときは、被害の拡大の防止、類似被害の発生の防止のために事故の態様や被害の状況などを自治体等に提供するとともに公表を行ない、消費者に注意の喚起を行うことになります(38条1項)。また国民生活センターに消費者への情報提供等必要な措置を求めることもできます(同3項)。事業者に対しては、同種の重大事故等が発生する急迫した危険がある場合には6ヶ月居ないの期間を定め、商品の販売等を禁止または制限することができ、その旨官報に告示することになります(41条1項、4項)。これに違反して販売等が行われた場合には業者に対し回収、その他の必要な措置を命じることもでき(42条)、また罰則として3年以下の懲役、300万円以下の罰金またはこれらの併科が科されることもあります(51条1号2号)。

消費者事故とは

それではどのような事故が生じれば上記規制が適用となるのでしょうか。2条5項によりますと「消費者事故」とは、①事業者が事業として供給する商品、製品、役務等で、その使用によって消費者に死亡、1日以上の治療期間を要する負傷、疾病が生じた事故、②通常予見される使用方法により通常有すべき安全性(消費安全性)を欠き、①の事故が生じるおそれのある場合、③その他、虚偽または誇大広告、消費者の利益を不当に害し、消費者の自主的かつ合理的な選択を阻害する恐れがある行為が挙げられます。③については、消費者を勧誘するに際して、消費者の判断に影響を及ぼす事実について故意に告げず、または不実のことを告げること、将来の不確実な事実について断定的な判断を提供すること、消費者が退去すべき意思を示したにもかかわらず退去しないこと、消費者を退去させないこと等を行った場合や、消費者を欺き、または威迫して困惑させた場合なども該当します(施行令3条2項、3項)。

コメント

本件で「アイデア」は「月収200万円以上」などの虚偽の成功体験談を多数掲載し、また電話での勧誘の際にもこれらの掲載事項が事実であるかのように説明して執拗に勧誘しておりました。これらは消費者の合理的な選択を阻害する「虚偽又は誇大な広告」「不実のことを告げること」に該当し「消費者事故」当たります。また他にも「通常価格10万円→今だけ会員様特別価格2万円」などとも記載しており、過去に10万円で販売していた事実が無いことからこれも「不実のこと」に当たります。これにより同社は公表されることとなりました。以上のように消費者安全法による規制はその多くが別途、景表法や消費者契約法などの規制事項にも重なる部分があります。本件の事例でも不実告知や有利誤認表示などに別途抵触する可能性があります。ホームページ上で商品の紹介やアピールを行う際には、誇大な広告になっていないか、成功体験談には根拠があるか等に注意しこれらの規制に違反しないよう注意することが重要と言えるでしょう。

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