改正個人情報保護法、オプトアウト手続について
2017/05/22   コンプライアンス, 個人情報保護法, 法改正

はじめに

今月30日、いよいよ改正個人情報保護法が施行されます。改正項目はたくさんありますが、今回はオプトアウト手続に焦点をあてて見ていこうと思います。法務担当者の方は、業務の中で個人情報を提供される機会もあるのではないかと思うので役立ててもらえたら幸いです。

個人データとは何か

個人情報保護法上、事業者が個人の情報を第三者に提供する場合に、本人の同意が求められるときがあります。この第三者提供が制限されるのは「個人データ」を提供する場合です。そのため、個人データとは何かを理解しておくことが必要です。
●「個人情報」と「個人情報データベース」
「個人情報」とは、特定の個人を識別できる情報をいいます。他の情報との照合により個人を識別できる情報も含まれます。氏名・生年月日・住所・電話番号だけではなく、顔の画像やメールアドレス等が個人情報に該当します。(法2条1項)。
この個人情報が整理されてデータベース化されたものが個人情報データベースです(2条4項)。例えば、エクセル等の表計算ソフトを使用してデータを整理した場合、紙文書を使用して顧客情報を整理した場合は、ファイルや文書が個人情報データベースに該当します。
●「個人情報」の「個人データ」化
「個人データ」は元来「個人情報」として扱われていた情報です。個人情報という元来バラバラの情報が整理されデータベース化されることで、その取扱いにより慎重さが求められるようになります。そのため、「個人データ」としてより多くの規制を受けるようになります。

第三者提供の可否(原則)

個人データを第三者に提供するためには、原則として、あらかじめ本人の同意を得ることが必要です(改正個人情報保護法23条1項。以下、「法」とのみ記載します)。
本人から同意がある場合、個人データに該当しない個人情報を提供する場合、被提供者が「第三者」にあたらない場合等はそもそも第三者提供のために同意は不要です。オプトアウト手続きの利用場面ともなりません。

同意が不要な場合(例外)

●法令に基づく提供等
法令に基づき提供する場合等について例外的に本人の同意なく第三者提供が可能です(23条1項各号)。
●オプトアウト手続を取る場合
従来の個人情報保護法では、第三者へ提供する旨、提供される個人データの項目、提供の方法、本人の求めがあれば提供を停止する旨を本人に通知するか、容易に知りうる状態におけば、本人の明確な同意がなくても第三者提供が可能とされていました(オプトアウト、法23条2項)。本人が停止を求めうる状態があるにも関わらず反対していない以上は同意があったものと同様に扱うという考え方です。住宅地図業者が表札や郵便受けを調べて住宅地図を作成・販売したり、データベース事業者がダイレクトメール用の名簿等を作成・販売する場合が典型例です。要配慮個人情報の提供、外国企業への個人データの提供には適用されないので注意が必要です(法23条2項、24条)。

「第三者」以外への提供は制限を受けない(適用外)

「第三者」以外への提供については、そもそも「第三者」提供の制約を受けません。委託、事業承継、共同利用の場面等について、被提供者が「第三者」にあたらず、本人の同意なく提供が許されています(法23条5項)。ただし、外国企業への提供には同意が必要なので注意が必要です(法24条)。

オプトアウト手続厳格化の経緯

ベネッセの会社情報流出事件を機に、本人が知らないところで自らの個人情報を第三者に提供されるというオプトアウトの問題点が指摘されていました。そこで、今回の改正でオプトアウト手続が有効に行われるための要件が厳格化されました。具体的には、届出事項に本人からの求めを受け付ける方法の追加、個人情報保護委員会への届出等について改正がありました。

対象となる情報

オプトアウト手続を利用して第三者提供が可能となるのは「個人データ」(法2条6項)を提供する場合です。もっとも、法23条2項で「要配慮個人情報を除く。」と規定されています。したがって、「要配慮個人情報」についてはオプトアウト手続の対象にはならず、第三者提供は許されません(法23条2項)。要配慮個人情報は不当な差別、偏見を産む可能性のある情報であり、名前のとおり慎重な配慮をもって扱われるべきです。そのため、本人の知らないところで情報が拡散してしまう危険性のあるオプトアウトの対象とはされません。

何を「容易に知り得る状態」にすればいいのか

法23条2項は、オプトアウトの場合に本人が「容易に知りうる状態」にし、個人情報保護員会への届出を行う事項として、本人の求めを受け付ける方法を追加しました。「本人の求めを受け付ける方法」としては、連絡手段(メール送信、郵送、ホームページ上の指定フォームへの入力、事業所の窓口での受付、電話等)だけでなく、連絡先(事業社名、窓口名、郵送先住所、送信先メールアドレス等)も含まれます。

「容易に知り得る状態」とはどのような状態か

オプトアウトの要件として、あらかじめの本人への通知又は容易に知りうる状態に置くことが必要です(法23条2項)。「容易に知りうる状態に置く」とは①第三者に提供される個人データによって識別される本人が当該提供の停止を求めるのに必要な期間をおくこと②本人が第三者に提供される個人データの項目等の法定事項(法23条2項各号)を確実に認識できる適切かつ合理的な方法によることが必要になります(規則7条1項)。
●「必要な期間」(規則7条1項1号)
「必要な期間」がどの程度かは、個人情報の性質や業種、ビジネスの態様などの事情を考慮して個別的に判断されます。「必要な期間」起算点は法23条2項により本人に通知し、又は本人を知りうる状態に置いたときです。
●法定事項を確実に認識できる適切かつ合理的な方法(規則7条1項2号)
本人が閲覧、認識することが合理的に予測される方法をとる必要があります。事業者のホームページに記載する場合でも、本人が閲覧することが合理的に予測されるかどうかが重要です。トップページのわかりやすい場所に掲載している場合、掲載ページにたどり着くまでに何回も操作を要する場合では本人の閲覧可能性は異なります。事務所窓口、定期刊行物等への記載も本人の来訪が予測されるか、刊行物が本人に配布されているのか、等の考慮が必要です。

届出について

・届出の方法
個人情報保護委員会への事前の届出は、届出書及び当該届出書に記載すべき事項を記録した光ディスク(CD-R等)を提出する方法によることができます(規則7条2項2号)。また、個人情報保護委員会が別途定めるところにより、情報処理システムを使用する方法もあります(規則7条2項1号)。届出の様式は規則の別紙様式第一の届出書によります。
・代理人による届出
代理によって届出を行うことも可能です。代理権限を証する書面を提出する必要があります(規則7条3項、規則8条)。規則の別紙様式第二の委任状を提出します。
・個人情報保護委員会による公表
オプトアウトの届出が個人情報保護委員会に対してなされると、個人情報保護委員会は届出に関わる事項を公表します(法23条4項)。公表はインターネットその他以外の適切な方法により行われます。公表は委員会への届出後、遅滞なく、インターネットの利用その他の適切な方法により行われます。(規則9条)。
・事業者による公表
個人情報保護委員会によってオプトアウトの届出に関わる事項が公表された場合には、事業者は速やかに法定事項を公表しなければなりません(規則10条)。インターネットの利用その他適切な方法により公表する必要があります。

違反があった場合の企業の不利益

違反行為があれば、是正を勧告・命令される可能性があります(法42条1項、2項)。また個人情報保護委員会から立ち入り検査を受けたり(法40条)、命令に従わない場合は罰金に処せられることもあります(法84条)。

オプトアウト(松本力事務所)
改正個人情報保護法(オプトアウトによる第三者提供の届出)

個人情報保護法の改正に伴うオプトアウト手続に係る個人情報保護委員会への届出について(PDF、個人情報保護委員会)
個人情報の保護に関する法律(全面施行版) (PDF:316KB)
個人情報の保護に関する法律施行令(平成29年5月30日時点) (PDF:221KB)
個人情報の保護に関する法律施行規則 (PDF:279KB)

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