サマンサタバサが「サマンサタバタ」を登録出願、商標の類似性について
2017/05/12   商標関連, 商標法

はじめに

株式会社サマンサタバサが3月13日、特許庁に「サマンサタバタ」の商標登録出願していることがわかりました。パロディ商品として販売されている「サマンサ田端」の商標登録を防ぐ狙いであると思われます。今回はどのような場合に商標権侵害となるのか、商標の類似性について見ていきます。

事案の概要

「サマンサタバサ」は株式会社サマンサタバサジャパンリミテッドが展開するバッグやジュエリーのブランドです。一方そのサマンサタバサのパロディ商品として販売されている「サマンサ田端」のバッグは「戦うTシャツ屋伊藤製作所」と呼ばれる東京都台東区のTシャツ制作販売業者が販売しているとされております。これを受けサマンサタバサは今年3月13日付けで特許庁に「サマンサタバタ」の商標を特許庁に登録出願しました。商品区分としてあらゆる鞄類、スーツケース、バッグ、リュックサック、財布、傘、つえ等が指定されております。伊藤製作所に先に「サマンサ田端」の商標登録がなされることを防ぐことを目的としているとされております。

商標権侵害とは

商標権は特許庁による登録によって発生し、商標権者その指定商品、指定役務について商標を使用する権利を専有することになります(商標法25条)。そして登録商標と類似する商標の使用または類似する商品の使用は商標権の侵害となります(37条1項)。侵害がなされた場合、商標権者は侵害行為の差止(36条)、損害賠償請求(38条、民709条)、信用回復措置請求(特許法106条)等を行えます。また刑事罰として10年以下の懲役、1000万円以下の罰金または併科となります(78条)。では具体的にどのような場合に商標権侵害となるのか以下見ていきます。

商標権侵害の要件

特許庁のガイドラインによりますと、商標の類否は「その外観、呼称又は観念等によって需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に観察し、出所混同のおそれがあるか否かにより判断する」としています。また判例においても「その外観、観念、呼称等によって取引者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考慮し」「その具体的な取引状況に基づいて判断する」としています(最判昭和43年2月27日)。つまり当該商品の需要者から見て、外観、呼称、観念がどのように印象等に影響を与えるかを全体的・総合的に判断するということです。ここで外観とは視覚を通じて認識する外形をいうとしています。呼称とは需要者が取引上自然に認識する音をいうとしています。例えば「紅梅」からは「べにうめ」と「こうばい」という音が需要者から自然に生ずるといった具合です。そして観念とは需要者が取引上自然に想起する意味合いを言います。例えば「EARTH」と「TERRA」は英語とフランス語の違いはありますがいずれも「地球」を意味します。しかし一般的には前者からしか地球は想起されません。これは一例ですがこのように両者の類否を判断していくことになります。

コメント

以上のように商標権侵害に当たるかは相当細かく微妙は判断を要します。それ故に特許庁や裁判所において侵害に当たると判断されるか否かの予測は困難と言えます。以前にも取り上げたフランクミュラーが「フランク三浦」の商標権登録に対し無効を訴えた事件でも一度は特許庁によって無効とする審決が出たものの知財高裁での審決取消訴訟において逆転有効とされております。これを受け、本件サマンサタバサも伊藤製作所が仮に「サマンサ田端」を商標登録出願した場合、フランクミュラーと同様にそれを防ぐことは困難となる可能性を危惧したものと思われます。それならば先に商標権を取っておこうという考えです。このように先回りして取得しておけば、事後類似の商標登録は困難となり紛争を予防することができます。自社のブランドのパロディ商品が出回っている場合、または発売されようとしている場合はこのように予防措置を取ることも一案です。なお別途不正競争防止法による措置も忘れずに検討することが重要と言えるでしょう。

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