公取委がガイドライン見直しへ、「選択的流通」について
2017/03/08   コンプライアンス, 独占禁止法

はじめに

日経新聞電子版は6日、公取委が「流通・取引慣行ガイドライン」を四半世紀ぶりに抜本的に見直す方針であることを報じました。独禁法上、メーカーが流通業者に対し小売業者への販売価格や販売先を制限することが禁止されておりますが、ガイドラインでは一定の要件のもと例外が規定されております。今回は「選択的流通」について見ていきます。

流通分野における独禁法上の規制

(1)再販売価格の拘束
流通分野において独禁法上問題となる行為としてまず再販売価格の拘束(独禁法2条9項4号)が挙げられます。再販売価格の拘束とは、例えばメーカーが卸売業者や小売業者に対して販売価格を指定して、その価格を維持し販売させることを言います。ガイドラインによると契約や同意書等で指定価格で販売することを約束させている場合や、その価格で販売しない場合は出荷停止を行う、指定を守ればリベートを提供するといった人為的手段によって価格維持を行った場合が該当するとしています。これにより公正な競争が減殺されることを防止しております。メーカー希望小売価格があくまで参考や目安である場合は問題ありません。

(2)ボイコット行為
安売りを行う販売業者に対して、メーカーや卸売業者が共同して供給拒絶を行うことも独禁法上問題となります(2条9項1号)。本来競争関係にあるメーカー間や卸売業者間等で安売り業者等に販売しなかったり、他の卸売業者に販売をさせない場合にこれに該当することになります。再販売価格の拘束と違い人為的な手段を必要とせず相互に意思の連絡を行えば足りるとされております。価格競争を行う者を市場から排除しようとするものであり、公正な競争の阻害性は強いものと言えます。

(3)拘束条件付取引
再販売価格の拘束、排他条件付取引以外で取引相手方を拘束する条件を付けて取引を行うことを拘束条件付取引と言います(一般指定12項)。例えばメーカーが卸売業者に対し、安売りを行う小売業者に販売しないことを条件として製品を供給するような場合です。仕入先である卸売業者が予め決められている帳合取引の強制や卸売業者間での取引である仲間取引を禁止することもこれに該当することになります。

選択的流通とは

メーカーが流通業者に関する一定の基準を設定し、卸売業者等にこの基準に該当しない流通業者への転売を禁止することをいわゆる「選択的流通」と言います。ガイドラインによりますとこの選択的流通が一定の要件のもとで許容されます。「①商品を取り扱う流通業者に関して設定される基準が、当該商品の品質の保持、適切な使用の確保等、消費者の利益の観点からそれなりの合理的な理由に基づくものと認められ、かつ②当該商品の取扱を希望する他の流通業者に対しても同等の基準が適用される場合」には上記拘束条件付取引等の要件に該当しても適法となるとされております。

コメント

メーカーが安売りを行う業者と取引を行わず、製品を供給しないことは取引の自由であり、本来問題となりません。しかし独禁法では競争業者間で共同して行う場合や、卸売業者の取引を拘束する場合等では公正な競争を阻害するものとして禁止しております。このような独禁法ですがその条文は非常に抽象的で不明確ものとなっており、これを具体的な基準として示した公取委の流通・取引慣行ガイドラインは事業活動を行う上で非常に重要です。しかし上記のとおり選択的流通の要件はガイドラインにおいても非常に曖昧でわかりにくいものとなっております。本件ガイドラインが作成されたのは平成3年7月であり、当時は立場の強いメーカーと弱い流通業者という市場構造を前提としていたと言われております。現在においてはインターネット等の発達により消費者は1円でも安い販売業者を容易に見つけることができ価格競争は激化しております。メーカー側は現在においては価格下落のペースが早すぎて投資分回収が間に合わないとしております。独禁法規制の例外にあたる選択的流通の要件を明確化した上で適用範囲の拡大が期待されております。現状この不明確な要件のもとで対応するしかありませんが、公取委のガイドライン改正を注視していくことが重要と言えるでしょう。

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