特定商取引法の平成28年改正について
2016/06/17   契約法務, コンプライアンス, 特定商取引法

はじめに

 「特定商取引に関する法律の一部を改正する法律案」が、5月25日、参議院本会議で全会一致で可決成立し、特定商取引法が改正されました。来年にも施行される予定です。客観的な事実を説明することに対する罰金刑の上限が大幅に引き上げられるなど、厳格な方向への改正のため、改正内容の検討が必要です。

特定商取引法とは

 特定商取引法は、消費者トラブルを生じやすい類型の取引を対象として、事業者に対して客観的事実と異なった事実を説明したり、勧誘目的を隠して訪問したりすることを禁止するなどルールを定め、消費者に対して契約後に契約を破棄することができるようにするなどの権利を付与する法律です。
 対象となる取引の類型は、訪問販売、通信販売、電話勧誘販売などです。まず、訪問販売とは、事業者が消費者の自宅に訪問して商品の勧誘をする類型をいいます。また、通信販売とは、事業者がインターネットなどで商品を紹介し、消費者がメール等で取引を申し込む類型をいいます。さらに、電話勧誘販売とは、事業者が消費者に電話をかけて商品販売の勧誘をする類型をいいます。
 今回の改正は、高齢化社会のもとで高齢者の消費者トラブルが増加傾向にあることなどの情勢に対応して、特定商取引における取引をより公正にするため、消費者の利益をより保護するためになされました。

主な改正点

 
 悪徳事業者への対応として業務禁止命令制度が創設されました。旧法では業務停止命令をうけた事業者の役員が別法人を設立して活動をすることができたため、業務停止命令が消費者トラブル発生の歯止めにならないといった指摘がありました。そこで、業務停止命令の実効性を確保するため、業務停止を命じられた事業者の取締役や取締役と同等の支配力を有する者が、新しく法人を設立して停止された業務を行うこと等を禁止することができるようになりました。

 また、過量販売への対応として電話勧誘販売の過量販売規制が設けられました。電話勧誘販売において、消費者が日常生活において通常必要とされる分量を著しく超える商品の売買契約等について、行政処分(指示等)の対象とするとともに、申込みの撤回又は解除を行うことができるようになりました。例えば、布団を4か月で6回購入するなどの契約は、特段の事情のないかぎり契約を破棄することができるようになりました。

 さらに、その他の対応として消費者が契約を破棄することが可能な期間や業務停止命令の上限期間が延長されました。まず、事業者が客観的事実と異なる説明などをしたことによって消費者が契約をした場合、消費者が契約の破棄ができるのは6か月間でしたが、1年間となりました。また、事業者に対して業務を禁止するよう求めることができる期間の上限が1年から2年に延長されました。

コメント

 今回の改正は、厳格な方向で改正がなされました。法務担当者が特に注意を要するのは、電話勧誘販売の過量販売規制です。営業担当者によって、日常生活において通常必要とされる分量を著しく超える商品の売買契約が電話勧誘でなされた場合、その契約が消費者にとって必要であることを立証することが必要となりえます。そのため、顧客に販売した量の記録に加えて、販売日時も記録し、これを第三者が過量販売に当たらないかをチェックできる体制をつくることを法務担当者は営業担当者に指示すべきと考えます。また、購入申込書に「購入の目的」の欄を設けて、購入者本人に記載させ、その内容が過量販売とみなされない合理的なものかを確認できるようにするよう指示することも考えられます。

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