リーディング証券に行政処分勧告、金商法の禁止行為について
2016/06/08   金融法務, 金融商品取引法, 金融・証券・保険

はじめに

証券取引等監視委員会は7日、リーディング証券が顧客に社債を販売する際に虚偽の説明等を行っていたとして金融商品取引法(金商法)に基づき行政処分をするよう勧告したことがわかりました。社債等を販売する際に金商法が規制する禁止行為について見ていきます。

事件の概要

証券取引等監視委員会の発表によりますと、リーディング証券株式会社は、オークテック株式会社が設立した合同会社ジェイマース及び合同会社ジェイメディカルが発行する「診療報酬債権等流動化債券」「病院不動産流動化債券」と称する社債を扱っていました。これらの社債は医療機関等から診療債券や不動産の買い付けを行うための資金集めを目的として発行されていました。監視委員会がこれらの社債について調査したところ、診療報酬債権買取業務の運営状況、買取債権にリスクの高い将来債権が含まれていること、損失が生じた際に既に信用力を喪失している匿名組合が補填すること、将来債権の買取基準、病院不動産に関し取得していない土地について取得済みとしていること等の多数の問題点が見つかりました。リーディング証券はこれらの事実につきほとんど調査・モニタリング等を行わず、また、顧客に十分な説明を行わない又は虚偽の説明を行うなどして、販売勧誘を行っていた疑いが持たれています。

金商法上の禁止行為

金融商品取引業者が顧客に商品を販売する際に行ってはならない行為等が金商法37条、38条等に規定されております。以下具体的に見ていきます。
(1)広告等の規制
金商法37条によりますと、金融商品取引業者が商品の広告等を行う場合、金融商品取引業者である旨や登録番号等を表示した上で、利益の見込み等について著しく事実に相違するような表示や誤認させるような表示を行ってはならないとしています。

(2)書面交付義務
金融商品取引業者が顧客と取引契約を締結する際にはあらかじめ上記登録番号等及び当該契約の内容、手数料・報酬等顧客が負担すべき金銭、損失が生じる可能性がある場合にはその旨、損失額が顧客が預託すべき保証金を超える可能性がある場合にはその旨等を書面に記載して交付しなければなりません(37条の4)。

(3)虚偽説明の禁止
顧客に金融商品取引の勧誘、契約の締結に際して虚偽の説明を行ったり重要な事項について誤解を生じさせる表示を行うこと、不確実な事項について断定的な判断を提供し、または確実であると誤解するおそれのある事実告げることは禁止されます。また信用格付業者以外の業者が格付けを行った場合にはその旨も告げる必要があります(38条1号、2号、3号、8号、内閣府令117条2号)。

(4)不招請勧誘の禁止等
勧誘を受ける意思が無い、あるいは勧誘の要請をしていない潜在的な顧客に対して訪問したり電話をかけて金融商品の勧誘を行うことは禁止されております(38条4号)。対象となる商品は法令上店頭デリバティブ取引等に限定されております(金商法施行令16条の4、1項)。また一定の先物取引等の勧誘については勧誘に先立って、顧客に勧誘を受ける意思があるかを確認する必要があります。勧誘を受けた顧客が契約を締結しない意思を明示した場合には勧誘の継続も禁止されます。

(5)損失補てんの禁止
顧客に損失が生じる場合、予め定めた利益に到達しない場合等で、顧客に対し損失の補てんの申し込み、約束、補てんの実行を行うことは禁止されます(39条)。これには一定の例外があり、顧客の注文を誤認して異なる商品の取引を行った場合、コンピューター上のシステム障害による場合、従業員のミスによる場合等金融商品取引業者の責任による損失である場合には補てんすることが認められます。

コメント

リーディング証券はこれらの社債の内容やリスク、収益性について十分な調査を行わず、顧客に対しても虚偽の説明等を行っていた疑いが持たれています。これは、虚偽説明等に該当し、証券取引等監視委員会は業務改善命令(51条)を出す必要があると判断しました。本件社債の総額は約50億円に上り顧客に多額の損害を生じさせる可能性があります。金商法のこれらの規定はいわゆるプロの投資家に比して情報力に乏しい一般投資家の利益を保護することを目的としています。これらの規定に違反した場合、金商法上の業務改善命令等以外にも民事上の責任を負うことが考えられます。まず虚偽説明や不招請勧誘により契約を締結した場合、消費者契約法4条1項、3項等により契約を取り消すことができる場合があります。また金融商品販売法により損害の賠償を請求されることも考えられます。金融商品販売法は金商法と同様に虚偽説明や断定的判断を禁止しており、元本欠損金の額が損害額と推定する規定(5条)等により民法上の不法行為の特則として一般投資家を保護しています。このように一般投資家は各種法令により、プロの投資家よりも厚く保護されていると言えます。一般投資家に対して金融商品を販売する際にはこれらの点について十分な注意が必要と言えるでしょう。

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