株主総会を適切に運営進行するために
2016/06/06   総会対応, 商事法務, 会社法, その他

はじめに

株主総会は、会社の方針や重要事項を決定する重要な機関であります。また株主にとっては、会社運営に参加できる機会であります。したがって、株主総会は適切に運営されなければなりません。今回は、株主総会の進行を妨害する株主に対する対処方法の一部を紹介いたします。

株主への所持品検査ができるか

裁判例では、一定の条件のもと、所持品検査を適法とした裁判例があります(福岡地裁判平成3年5月14日)。
この裁判例は、「総会の会場内でみだりに横断幕を張ったり、ゼッケン着用やビラ、チラシの配布行為がされると、議場の平穏が乱され、円滑な議事進行の妨害となるおそれがあることは否定でき」ず、「会場内に(横断幕やゼッケン等)が持ち込まれる可能性が十分に考えられる状況……において、秩序ある株主総会の議事を運営すべき立場にある会社がバックを一時的に預けるよう要請し、これに応じない者については、バッグの中にこれらのものが入っていないことを確認しようとすることは、不当なものとはいえない。」としています。
この裁判例では、所持品検査が常に適法とされるわけではないので、注意が必要です。株主総会が円滑に進行されるか否かがポイントです。

株主の出席を拒否できるか

議決権行使は、株主に認められた重要な権利であり、株主総会に出席することは当然認められています。しかし、株主の出席を拒否することを認めた裁判例(京都地裁判決平成12年6月28日)があります。
この裁判例では、出席禁止を命じられた株主の前年度での株主総会の行動が、議題とは無関係な抗議行動であり、株主としての正当な権利行使ということはできないとされ、今回の株主総会まで抗議活動を続けた上、株主総会を混乱させることを宣言している状況にあり、株主総会に出席することを禁止する旨の仮処分決定をしました。
株主の株主総会への出席を禁じることは、議決権の行使を制限することになります。簡単に出席を禁じてしまうと、その後トラブルになるおそれがあります。したがって、出席を禁じたい場合には、裁判例のように保全処分の申立てを行った方が良いかと思います。

退場命令をだせるか

退場命令を出された株主が会社に対して損害賠償を請求した裁判例(東京地裁判決平成8年10月17日)があります。
この裁判例では、議長の発言中止命令にも関わらず、さらに不規則発言を継続し、発言を中止しないと退場を命ずるとの警告をしたが、不規則発言を中止せず、本件株主総会を混乱に陥らせ、議事の進行を妨害したものである。そこで議長の命令に従わず、本件株主総会の秩序を乱したものとして、会社法315条に基づき退場を命じたもので権限濫用等の違法な点が存在しないとしています。
株主総会の議長は、その命令に従わない者その他当該株主総会の秩序を乱す者を退場させることができます。しかし、退場命令も株主の議決権行使の機会を奪うものでありますので、慎重に行う必要があります。一般的には、議事を妨害する行為を中止すること、中止しなければ退場させる旨の警告を行った上で退場命令を発する必要があるとされています。また、警告は3回~5回程度は必要と考えられています。

コメント

株主総会は、会社にとっても株主にとっても重要な機関であります。会社としても、株主としても、株主総会は適切に運営されなければなりません。特に株主にとっては、株主の最も重要な権利である議決権を行使する機会であります。そのような権利行使の機会をむやみに奪うことになってしまうと、株主総会の取消事由になってしまう危険があります。
株主総会は、株主にとって最も重要な権利である議決権を行使する機会であることを忘れずに、株主総会を妨害する株主に対して対処しましょう。

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