女性活躍推進法と企業が果たすべき役割
2016/04/07   労務法務, 労働法全般, その他

はじめに

女性管理職比率などの公表を義務付ける女性活躍推進法の施行を受けて、女性がキャリアアップしやすい職場作りに取り組む企業の動きが加速しています。推進法で公表される数値が企業の採用活動などに影響すると予想され、大手は他社とともに勉強会を開いて対応策の検討をしています。一方、女性従業員が少ない企業には「何から始めたらいいのか」と戸惑いの声も出ているようです。今回は女性活躍推進法が定める内容と義務を見て、現時点においての企業側の問題点及び、CSRの観点から各企業が果たすべき役割を考えてみたいと思います。

1 女性活躍推進法とは

男女雇用機会均等法の施行から30年という節目の4月、働く女性を後押しする新たな仕組みが動き出しました。4月1日から女性活躍推進法が全面施行され、育成や登用に向けた行動計画を策定・公表することが大企業の義務となりました。推進法の目的は、女性の職業生活における活躍を迅速かつ重点的に推進し、もって男女の人権が尊重され、かつ、急速な少子高齢化の進展、国民の需要の多様化その他の社会経済情勢の変化に対応できる豊かで活力ある社会を実現することです。
その内容は女性活躍推進法に基づき、国・地方公共団体、301人以上の大企業は、

(1)自社の女性の活躍に関する状況把握・課題分析、
(2)その課題を解決するのにふさわしい数値目標と取組を盛り込んだ行動計画の策定・届出・周知・公表、
(3)自社の女性の活躍に関する情報の公表

を行わなければなりません(300人以下の中小企業は努力義務)。上記した職場環境の最低一つは公表が必要で、自社や厚生労働省のホームページに掲載することとなります。

優良企業は厚労相の認定を受けて自社商品に認定マークを付けられる特典があります。なお数値目標が未達成でも罰則はありません。

2 現在の女性の管理職比率と企業側の問題点

日本は今なお、女性が活躍しやすい環境になっているとはいえません。総務省などによると、2014年の日本の女性管理職比率は11,3%です。米国(43.4%、13年)などと比べて低水準です。では、なぜ日本の女性管理職比率は他の先進国に比べて低いのでしょうか。厚生労働省の雇用均等基本調査によると「現時点では、必要な知識や経験、判断力等を有する女性がいない」とする企業が54.2%と最も多く、次いで「将来管理職に就く可能性のある女性はいるが、現在、管理職に就くための在職年数等を満たしている者はいない」(22.2%)、「勤続年数が短く、管理職になるまでに退職する」(19.6%)が上位3位を占めていました。

多くの企業は女性採用PRに力を入れ始めたが、女性を増やしたいが人事は能力重視が基本で、女性は特別扱いしないという企業が多いようです。数値目標は本来なじまないという企業側の声もよく耳にします。ある人材派遣会社は今年2月から推進法対応の相談業務を始めました。同社幹部は「中堅企業は女性が少なく『何から始めたら良いか分からない』という声を聞く」と話しています。

社内に手本となる女性管理職が少ない場合、女性は理想像を描けずに管理職を目指さない傾向があるようです。出産後のサポート制度は整ってきたが、管理職の試金石となる責任ある仕事まで任せてもらえないケースが多く、今後企業には女性採用を増やして重要な仕事につけ、女性管理職を育てる努力が求められそうです。

3 各企業が果たすべき役割

企業は利益を追求するだけでなく、組織活動が社会へ与える影響に責任をもち、あらゆるステークホルダー(利害関係者:消費者、投資家等、及び社会全体)からの要求に対して適切な意思決定をすることは、企業イメージをよくし、ひいてはその企業の価値を増幅させます。女性の社会進出を後押しすることにより、男女の人権が尊重されることは社会にとって好影響をもたらします。また女性の仕事と育児を両立させることは、急速な少子高齢化の進展、国民の需要の多様化その他の社会経済情勢の変化に対応できる豊かで活力ある社会を実現することにつながります。このように女性の積極的登用はCSRの観点からも大切です。人事部門のみならず、法務部門も積極的に女性を管理職にすることを企業に働きかけ、社会の一員としての役割を果たして欲しいと思います。

コメント

政府は15年12月に定めた「第4次男女共同参画基本計画」のなかで、女性の管理職比率を20年に30%に高める目標を掲げました。その大きな壁となっているのが、硬直的な長時間労働です。企業の皆様には長時間労働の見直しなどの労働環境の見直しをしていただきたいです。確かに業種などにより女性の置かれている状況は大きく異なります。しかし女性活躍推進法の施行により、企業は自社の実情を踏まえ、地道に女性を育成していくことが欠かせなくなるでしょう。女性が仕事か子育てかの二者択一を迫られ、少子化の一因ともなっています。働き方にメスを入れない限り、どんなに採用を増やし、研修を充実させても十分とはいえません。業務の進め方を見直し、短い時間でも成果が上がるよう工夫したり、在宅勤務など多様な働き方を用意する。それにより、育児や介護などで時間的な制約を持つ人も働き続けやすくなるでしょう。多様な価値観と経験を持つ人がいる職場は、変化に強い職場ともなります。義務化の対象になっていない300人以下の企業も計画づくりに積極的に取り組んでほしいと思います。優良企業は厚労相の認定を受けて自社商品に認定マークを付けられる特典があります。認定マークのついた商品は女性にとって、とても好印象に見えます。企業の皆様にはビジネスチャンスでもありますので、ぜひ女性管理職の積極的登用に力を注いで欲しいと思います。

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