新商標登録の第一歩~あの絵この音そんな色~
2015/11/17   知財・ライセンス, 商標関連, 商標法, その他

1.商標のビジネスへの寄与
 商標を巡り一時期世間を騒がせた鳥貴族と鳥二郎の焼鳥チェーン同士の戦いは、鳥二郎の登録商標利用に対する異議申立ては今年6月に却下、不正競争防止法を巡る訴訟は今月2日に和解という形で幕を締めくくった。和解の内容は明らかにされていないが、この結果を招いた一因には両者の商標は既に登録されており、非類似性が元々認められていた点があると言えるだろう。このように商標は企業のイメージを形成する一端を担っており、ビジネスシーンにおいて果たす役割は大きい。

2.改正商標法
 さて、日本では今年4月から欧米を追いかける形で特許庁が、従来の「文字」や「図形」、「立体」に加えて「音」「色彩」「動き」「位置」「ホログラム」の5種の商標の出願受付を新たに開始した。先月の時点で出願は既に1000件を超えており、順次査定している。先月27日に公表された新商標第一弾は43件だ。有名どころでは大正製薬の「ファイトー、イッパーツ」の掛け声や味の素の「あじのもと」という音声など。他方で、同じ「音」でも正露丸の「トランペットの演奏音」は登録が見送られた。各人により受け止め方が異なる抽象性から基準の定立に難点があるからだと思われる。色彩については、色彩のみで他の製品と識別することは困難であり審査が難航しているという理由から、今回は登録0件という結果に終わった。出願が認められるためには企業側の出願内容について一定程度の「分かりやすさ」も求められそうだ。今回取り入れられた新商標は言語を超えたブランドメッセージの有効な発信手段となりうるため、今後の積極的な審査・登録が期待される。特許庁は画像意匠公報検索支援ツール(Graphic Image Park)の利用を10月1日から開始しており、出願者の利用を促進させる姿勢も見せている。

3.今後の展望
 新たに取り入れられた商標は視覚的に認識できるものとそうでないものという違いはある。東宝は映画冒頭に流れる自社ロゴを「動き」として登録しており、その目的は明白だ。同社のように海賊版や海賊版や既存イメージを利用したフリーライダーを抑止・駆逐する手段として利用する企業は少なくないと思われる。その場合、特許庁に求められるのは視覚的に認識可能/不可能な出願対象について、どのような点に着目して判断するかという基準の定立と登録の判断の蓄積だ。
 一方、企業としてはブランド戦略にどのように組み込んでいくかが将来的な企業の知恵の出しどころだろう。ブランド戦略について分かりやすい例を挙げると、ファッションでは「L」と「V」のモノグラムであればルイヴィトン、「C」の文字の組み合わせであればコーチ、と言ったように視覚的に他社と区別され消費者にアピールする手段となる。そして今回の法改正で新たに取り入れられた「色彩」について言及すれば、同業界で「色」といえばルブタンのヒール越しに鮮烈に輝く「赤」の靴底だ。欧州では同社が色を商標登録したことにより消費者からの一定の支持を得た。同業界の「色彩」としては他にティファニーが梱包の箱等に用いている「水色」が例として挙げられ、こちらもまた世界的に広くブランドイメージとして認知されているところである。これらのブランドを連想させる非言語的な「色彩」が当該ブランドの売り込みに際して強力なパワーを持つことは疑いようの無い事実だ。
 最後に、今後登録の対象となりうるのは「におい(香り)」や「味」、そして「触感」だ。既にアメリカでは導入されている。日本においては未定だが、香りや味、手触りで「あのブランドだ」、と分かる消費者へのアピールポイントが商標として認められる日がいつか来るかもしれない。

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