紙の契約書はもういらない?クラウド契約時代は来るか
2015/10/13   契約法務, リーガルテック, 民法・商法, その他

契約法務がデジタル化する?

「うちは全て契約は電子契約なので紙の契約書でのやりとりは受け付けていないんですよ」
 もしかしたら近い将来、そんな言葉を聞く時代がやってくるのかも知れない。
 10月12日付け日本経済新聞・朝刊において、弁護士ドットコムが今月19日から、Web上で企業間の契約を認証するサービスを始めると報じられ話題となっている。そもそも、契約自由の原則から、書面がなくても両者の合意があれば契約は成立するものである。契約書面を作る意義は争いが生じたときのため、あるいは税法上等の要請によるものであった。しかし現在は法整備も進み、Web上の電子契約によっても契約を締結できるシステムが整っている。
 従来通りの紙の契約書のやりとりであれば、プリントアウト、ホチキス止め、製本テープを貼り、押印して、割印して、収入印紙を貼って、返信用封筒を同封して書留で郵送…といった面倒な手順を踏まなければならなかった。これがWeb上で行われれば契約締結までの手間や時間を大きく短縮可能である。また、そこに両社の仲介という形で弁護士ドットコムが入ることで、同社が契約書を管理しレビューなどのサービスを提供することも可能であるという。
 様々な業務がデジタル化する現代において契約法務がデジタル化するのも必然の流れであろう。しかし紙の契約にこだわっていた日本企業がこのデジタル化の波に果たして乗るだろうか。

クラウド契約のメリット

 弁護士ドットコムのサービスについて13日現在HP上で詳細を確認することはできないが、同社のサービスはいわゆる「クラウド契約」と呼ばれる契約であり、米国では盛んなものである。このサービスについて、「電子契約であることのメリット」と「第三者が仲介することのメリット」がそれぞれ存在する。
 まず、電子契約であることのメリットについては、第一に時間の節約になるという点があげられる。先に述べたように、紙媒体にまつわる面倒な手間を省くことで迅速な契約締結が可能であり、契約のチャンスを逃さない。特に海外企業とのやりとりにおいては大きな効果を出すことと思われる。
 第二にコストの節約になる。郵送費や契約書保管のコスト削減といった点もあるが、何より大きいのは印紙代を払わなくても良い点である。印紙税法上、印紙税は「文書」にかかる税金であるため、電子メールやFAXなどの電子データで送付された「電子的契約書」に対しては課税されない。そのため請負契約や不動産売買契約など課税文書を用いた契約においては、電子契約を採用することで相当な節税効果が期待できる。
 以上のような電子契約としてのメリットが存在するが、これは必ずしも第三者が関わる電子契約に特別なことではない。当事者の間で電子契約を交わす場合でも同様である。では第三者がサービスとして仲介することのメリットとは何だろうか。
 主になるのは契約書管理についてのサービスである。外部のサーバー上に契約書データを保管する体制が整っていれば、原本の紛失のリスクは減る。また十分なセキュリティ保護が備わっていれば、自社で行うよりも契約の機密性が守られ、さらにコストもかからないということになるかも知れない。また書面で管理するよりもデータベースにアクセスした方が確認が早く、それまでのやりとりも同時に把握できる。時期の到来をアナウンスするサービスや、契約後のやりとりをサポートするサービスも考えられるだろう。つまりそこは当該会社のサービス次第ということである。

まとめ

 今回の弁護士ドットコムのサービス開始以前にもDocuSignなど電子署名をサポートする企業は存在している。しかし依然として電子契約は日本企業では一般的にはなっておらず、そのようなサービスがあることも認知されていない。従来と異なり契約書を自社の管理下から離す形になるため、企業がサービスを利用するか否かのポイントは、いかにサービス元の会社が信頼できるかという点が大きいと思われる。また、サービス内容がいかに魅力的なプラスアルファを持っているのか、サービスを利用する敷居が低いか、といった点も大きく関係するであろう。
 契約法務のデジタル化・効率化という流れは今後間違いなく訪れるものと思われるが、どんな企業がその先駆けとしてシェアを持つことができるかは今の段階では分からない。企業から厚く信頼されるサービスがいつ構築できるか、日本のクラウド契約書の元年がいつになるかはサービス企業の努力にかかっているといえよう。

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