経済産業省 営業秘密管理指針を発表
2015/08/12   コンプライアンス, 不正競争防止法, その他

【概説】

 不正競争防止法の改正法案が先月3日に成立し、6ヶ月以内に施行される予定だ。今回の改正では、「営業秘密」の侵害に対する罰金の上限が上がり(個人が国内で営業秘密を侵害した場合の罰金上限は、1千万円から2千万円に上がり、国外で営業秘密を侵害した場合の上限は、3千万円となる。法人が国内で営業秘密を侵害した場合の上限は、3億円から5億円に上がり、法人が国外で営業秘密を侵害した場合の上限は、10億円となる。)、被害者の告訴がなくても検察官が起訴できることや、情報の流出が未遂の段階でも捜査が可能となるなど、企業秘密を一層保護する流れとなっている。
 本稿では、このような手厚い保護を受ける「営業秘密」について取り上げる。

【営業秘密】

 不正競争防止法上、「営業秘密」とは、「秘密として管理されている生産方法、販売方法、その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないもの」(2条6項)と定義されている。すなわち、①秘密管理性、②有用性、③非公知性がなければ法律上保護されないことになる。これら3要件のうち、①「秘密管理性」について、従来から不明確な要件であるとの指摘がなされており、今回の法改正に先駆けて経済産業省から「営業秘密管理指針」が公表された。この指針について整理すると以下の通りである。

【秘密管理性】

 「秘密管理性」が満たされるためには、「秘密管理措置」(秘密情報と秘密でない情報とを区分し、秘密情報であることを明らかにする措置を講じること)を行うことにより、「秘密管理意思」(秘密情報として管理しようとする意思)が明示され、従業員がその秘密管理意思を容易に認識できる必要がある。
 具体的にどのような「秘密管理措置」が採られる必要があるかは、企業の規模や業態、情報の性質等の事情により様々である。指針によると、小規模な企業の場合には、口頭での秘密管理措置で足りる場合もあるとされているが、問題発生時の証拠という観点からすると、営業秘密リストの作成など可能な限り可視化することが望ましいというべきであろう。

【コメント】

 自社の営業秘密が外部に漏えいしないように既に対策を講じている企業は多いと思う。今回の不正競争防止法の改正は、東芝がフラッシュメモリー技術を不正に取得したとして、韓国のSKハイニックスを提訴したという事件が背景にあり、技術先進国である日本の技術流出を防ぐ狙いがある。
 情報は、紙媒体や電子媒体として記憶されるだけでなく、人の頭の中にも記憶される。転職者が新雇用先で営業秘密を流出させることもあり、営業秘密の流出を完全に防止することはほぼ不可能といえよう。しかし、情報を流出させない旨の誓約書を提出させることや、企業内でセミナーを開催し従業員に営業秘密の重要性を再認識させることなど一定程度の効果が期待できる対策を講じることは可能である。最終的には従業員ひとり一人の法令遵守意識に頼ることになろうが、その意識を高めることができるかどうかは法務担当者の手腕にかかっているといえよう。

【参考】

経済産業省 営業秘密管理指針

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