消費者契約法改正の動向
2015/05/28 消費者取引関連法務, 消費者契約法, その他

昨年10月、消費者庁が「消費者契約法の運用状況に関する検討会報告書」を発表した。その後、消費者委員会の下に消費者契約法専門調査会が置かれ、改正に向け様々な論点が示されている。
改正法の論点
①消費者概念の在り方
消費者概念の相対性、弾力化が検討されている。
インターネットオークションのような、個人間取引であっても当事者の一方である個人が反復継続的に同種の行為を遂行する場合は、その個人が「事業者」と認定され、消費者契約法が適用される可能性がある。
②消費者契約の内容の情報提供義務
企業と消費者との情報、交渉力の格差解消が課題となっている。
取消規定のほか情報提供義務違反に対する損害賠償責任規定を導入し、因果関係や損害額の推定規定を置くなどして、民法の損害賠償規定の具体化を図るとともに、訴訟上の情報格差を埋めるような手当てが検討されている。
③不当勧誘
Ⅰ勧誘の要件
消費者契約締結の勧誘に際し、事業者が不適切な行為(誤認や困惑させる行為)を行った結果、消費者が自由な意思決定を妨げられたことにより、契約を締結した場合、消費者は契約を取り消すことができる。
近時では、インターネット上のものを含めた「広告」が契約締結意思に働きかけていることから、誤認類型における「勧誘」要件を削除し広告を含めることが検討されている。
Ⅱ不当勧誘行為の効果
事業者の行為規範として不適切な情報提供や重要情報の不提供に該当する行為類型を列挙したうえで、取消・損害賠償・差止 という効果別に付加的要件も含めて規定するという方式が検討されている。
消費者を困惑させる類型の行為、またはその延長線上に存する不当な勧誘行為について、取消しという効果だけではなく、損害賠償責任規定の導入が検討されている。
その際、因果関係や損害額の推定規定を置くなどして、民法の損害賠償規定の具体化と立証責任の転換等を図ることが考えられる。
事業者に与える影響
消費者委員会によれば「現行法においては、インターネット広告に関する不当な表示については、専ら景品表示 法等に基づく行為規制が課せられているにとどまり、インターネット広告の不当な表示に起因する契約被害に対応する民事規定を欠く状況」である。
また、「インターネット広告については、ターゲティング広告の発達など広告が消費者の意思形成に働きかける影響力が大きく、事業者からみてもその対応は 個別の「勧誘」と異にする合理的理由は見いだせない」との認識を示している。
改正の方向性によっては、ネット広告の運用に大きな影響を与えそうだ。
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登島和弘 氏(新企業法務倶楽部 代表取締役…企業法務歴33年)
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