補助金企業の献金 指針まとめる 総務省
2015/04/20 法務相談一般, 民法・商法, その他

事案の概要
総務省は、4月18日までに、国の補助金を受けた企業からの政治献金で、寄付が規制対象に該当するか否かにつき指針をまとめた。「離島航路の運行の欠損を補填」する場合や、「耐震改修の追加的な費用負担」をする場合などを、規制の対象外としている。
政治資金規正法
政治資金規正法は、企業が補助金の交付決定通知を受け取ってから1年以内の政治献金を禁止している(政治資金規正法第22条の3第1項)。これは、交付決定の経緯に疑念を抱かれるのを回避し、結果として補助金が政治資金に還流するのを防ぐ目的である。これに違反して寄附をした会社や役職員は、3年以下の禁錮又は50万円以下の罰金に処せられる(同法第26条の2第1号)。
現時点でも、国からの補助金等が試験研究、調査、災害復旧に関わるものその他性質上利益を伴わない場合は、補助金企業からの政治献金を例外的に認めているものの、この例外に該当するか否かの基準が曖昧であるとの指摘がなされていた。
今後の展開
この頃、閣僚や与野党幹部が補助金受給企業から政治献金を受け取った事例が相次いで発覚した。これを受け、民主党は4月10日、政治資金規正法改正案を衆議院に提出している。これは、国や政党・政治資金団体は、企業・団体側に対して、補助金交付決定通知を受けて1年以内の企業から献金を受け取ることはできない旨を知らせるよう義務化するものである。また、国からの補助金を原資とした間接的な補助も規制対象とし、罰則も禁錮3年以下、罰金100万円以下へと強化する。
各省庁は、今回の指針を受け、2015年度予算の各補助金につき、後の政治献金が制限されるものか否か個別に判断したうえで、5月中旬以降、補助対象企業に対し交付決定通知を行う予定である。
コメント
違法な献金を行ったとなれば、国や政党との癒着が疑われ、企業の社会的な信用が失われかねない。企業が行った政治献金が政治資金規正法の趣旨に反するものでない旨示すためには、国や政党による手続きだけでなく、献金を行った各企業がそのホームページ上で公開するなどして、当該献金の事実、献金先、趣旨、金額等を国民に容易に認識し得る状態に置く必要がある。
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