ドラクエ酷似ロゴを無断使用したRMT業者社長逮捕 RMT対策強化になるか
2015/02/20 金融法務, 民法・商法, その他

事案の概要
栃木県警は2015年2月19日、人気ゲーム「ドラゴンクエスト」の商標に酷似したロゴをサイトに掲載してRMT(リアルマネートレード)の営業を行い、ゲーム会社「スクウェア・エニックスホールディングス」の商標権を侵害した疑いがあるとして、東京都足立区のRMT(リアルマネートレード)業者「アットベンチャー」社長佐藤高弘容疑者(41)を商標法違反の疑いで逮捕したと発表した。RMT業者が商標権侵害で逮捕されるのは初めてとなる。佐藤容疑者は容疑を認めていると言う。
今回の事件は、RMT行為そのものではなく、商標に酷似したロゴをRMTの営業で使用したことが、登録商標に類似する商標の使用(商標法第37条第1号)に対する罪(同法第78条の2)にあたるとして問題となったものである。
RMTの概要と問題点
RMTは、オンライゲームのアカウントやアイテム、仮想通貨等を現実の通貨で売買する行為を言う。オンラインゲームのアカウントやアイテムを他者から購入することにより、プレイ時間の節約が出来ること、他のプレイヤーに対し優位に立つことが出来ることから、これらの需要が存在するところ、これを現実の通貨で売買することができれば経済的な利益を得ることが出来る。
RMTの問題点は、商品となるアカウントやアイテム獲得のために不正アクセス等が用いられることによるサーバーダウン等や、不正に獲得したアイテムが大量に供給されることによりゲームバランスの崩壊などのトラブルが発生することにある。また、データの売買であるRMTはそれ自体を直接取り締まる法律がなく、運営企業側が利用者との間で合意する利用規約に違反するに過ぎないことも問題である。このため、RMTの監視や取締りは運営企業側が取り組まざるを得ず、その対策コストがサービスの質や収益の低下を招くことにもつながっている。
このような問題点が存在するため、企業側からはRMTに対する法的な規制強化が望まれている。
コメント
今回の事件はゲームのロゴを無断で使用したことが商標法違反として取締りの対象となったものであり、利用規約で制限するしかなかったRMTの対策について、その範囲を拡大しうるものとして注目されている。
一方で、今回の商標法違反としての取り締まりはRMT自体を違法とするものではないため、業者による大規模なRMTに対しては有効であるものの、インターネット上で行われ、現実の物品の移転等が起こらないRMTでは商標を使用することなく行われるものも多く、対策として十分であるとはいえない。
RMT自体が法規制の対象となるような法整備が行われるか否か等、今後の動きに注意する必要もあるだろう。
関連サイト
関連コンテンツ
新着情報
- 業務効率化
- Hubble公式資料ダウンロード
- 業務効率化
- ContractS CLM公式資料ダウンロード
- 解説動画
奥村友宏 氏(LegalOn Technologies 執行役員、法務開発責任者、弁護士)
登島和弘 氏(新企業法務倶楽部 代表取締役…企業法務歴33年)
潮崎明憲 氏(株式会社パソナ 法務専門キャリアアドバイザー)
- [アーカイブ]”法務キャリア”の明暗を分ける!5年後に向けて必要なスキル・マインド・経験
- 終了
- 視聴時間1時間27分
- 解説動画
江嵜 宗利弁護士
- 【無料】新たなステージに入ったNFTビジネス ~Web3.0の最新動向と法的論点の解説~
- 終了
- 視聴時間1時間15分
- 弁護士

- 片山 優弁護士
- オリンピア法律事務所
- 〒460-0002
愛知県名古屋市中区丸の内一丁目17番19号 キリックス丸の内ビル5階
- セミナー
熊谷 直弥 弁護士(弁護士法人GVA法律事務所 パートナー/第一東京弁護士会所属)
- 【オンライン】2025年春・Web3/暗号資産の法令改正動向まとめ
- 終了
- 2025/04/23
- 12:00~13:00
- まとめ
- 独占禁止法で禁止される「不当な取引制限」 まとめ2024.5.8
- 企業同士が連絡を取り合い、本来それぞれの企業が決めるべき商品の価格や生産量を共同で取り決める行...
- ニュース
- 消費者庁が英会話NOVAの「入会金0円」で措置命令、キャンペーンの注意点2025.10.20
- 英会話スクール「NOVA」の運営会社が、生徒募集の広告で不当表示をしていたとして消費者庁が17...
- 弁護士

- 原内 直哉弁護士
- インテンス法律事務所
- 〒162-0814
東京都新宿区新小川町4番7号アオヤギビル3階












