無料wi-fiの全国拡大のリスクに対応せよ
2014/12/12   労務法務, 労働法全般, その他

事案の概要

東京都交通局及び東京メトロは、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会を見据え、平成26年12月1日(月)より、東京の地下鉄駅のうち、多くの訪日外国人の利用客の利用が見込まれる143駅で、無料Wi-Fiサービスを開始した。また、12月11日には、KDDIの子会社のワイヤ・アンド・ワイヤレス(Wi2、東京、中央)や京都市など17企業・団体が、訪日外国人観光客が全国で無料Wi-Fi(無線LAN)サービスを使えるようにするスマートフォンアプリに関する共同プロジェクトを始めたと発表した。
無料Wi-Fiサービスは利便性が高いこともあって、今後個人経営の商業施設にも益々拡大していくものと思われる。

無償Wi-Fi利用に潜む法的リスク

 しかし、個人または企業が独自に行う無償Wi-Fiサービスの利用・提供には注意が必要だ。なぜなら、個人や企業が独自にWi-Fiサービスを提供するためには、利用提供のために無線の暗号化を事実上無効にする必要が一般的にあるため、第三者に無線を盗聴される恐れが極めて高くなるからである。たとえば、企業の従業員がこのようなWi-Fiサービスによる通信によって、会社の営業秘密が盗聴され漏洩すれば、就業規則の『機密情報保持』などの規定への違反となり、会社から懲戒を受けたり、解雇されたりする原因となりうる。さらには会社から損害賠償請求を受ける可能性もある。
 会社側としても、漏洩したデータが取引先の営業秘密や顧客の個人情報である場合には、会社の信用失墜のみならず、取引先に対して損害賠償責任(使用者責任)を負う可能性もあり得る。
 さらには、提供した無線LANを犯罪に利用された場合、提供側にも発信者情報開示請求責任が発生する可能性がある(特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(通称、「プロバイダ責任制限法」)4条1項、最高裁判決平成22年4月8日)。また、犯罪に利用されていることを知りつつ放置するなどした場合には、被害者に対して損害賠償責任を負う可能性もある(民法709条、プロバイダ責任制限法4条4項)。

対策

このようなリスクを避けるためには、無料Wi-Fiスポットの安易な利用は避ける、ウィルスセキュリティ対策を講じるといった利用者自身の自助努力はもちろんのこと、企業としても「インターネット接続は会社や個人で契約している携帯電話の回線か、強固な暗号化設定をした自前のWi-Fiルータを使う」、「社外に営業秘密や顧客データを持ち出さない」といった社内規定を構築し、社員教育の徹底を図る必要があろう。
また、個人の店舗としても、リスクをしっかりと理解したうえでサービスを提供する必要がありそうだ。

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