新たな労働時間制度に関する議論が本格化
2014/09/19 労務法務, 労働法全般, その他

新たな労働時間制度に関する議論
新たな労働時間制度を含めた、労働時間法制の今後に関する議論が労働政策審議会労働条件分科会で本格的にスタートしている。政府は同分科会での議論をふまえて来年の通常国会に改正法案を提出したい意向である。
今回の議論で世間的にも注目されているのは、新しい労働時間をめぐる議論である。一定程度以上の年収を得ている労働者や特定の職種の労働者を対象として、労働時間規制の対象から除外する労働法制については賛成派反対派双方から様々な意見が出ている。
労働者の創造性や職業能力の向上が図られ、企業の競争力強化にも資するとして、導入に積極的な意見もある一方、過重労働を一層助長することになるとして、反対する声も根強い。
経団連などの経済団体は導入に積極的であり、例えば年収1000万円以上の者に対象を限定し、労働時間規制の適用除外制度を創設すべきとの提案をしている。こうした労働者であれば交渉能力も高く、適切な業務量の目標設定も可能であるから、労働時間の規制を外しても問題ないとの認識のようである。
また専門的、技術的な労働者が創造性を十分発揮できるように、専門業務、企画立案業務に加え、5年の有期雇用が認められている高度専門的業務なども対象にすべきとの提案もある。具体的な職種についてはファンドマネジャー、与信業務、M&Aや市場調査担当者などが想定されている。
一方、反対を唱える労働団体などは、労働時間ではなく成果で評価されることになると、成果を求められるあまり、労働時間が長くなり、過重労働を増大させると主張している。また現状でも労働時間規制の適用が除外されている管理監督者については「名ばかり管理職」とよばれ、その適用範囲が不適切に拡大されてきた実態をふまえ、一定の基準を設けて新たな労働時間制を導入したとしても、再び不適切な運用が繰り返される恐れも指摘されている。
コメント
現在議論されている、新たな労働時間制度については、時間ではなく成果で賃金を決定するというが、その「成果」をどう評価するのかは不透明である。また一定の年収要件を設けるとしているが、年収要件と労働時間規制除外を結びつける論理も明確ではない。
また、現行でもフレックス制など比較的弾力性のある労働時間制度もあり、新たな労働時間制度を設ける根拠もそこまで強くないように思える。
労働関連の問題に関しては、産業競争力会議を中心として、経済界が議論をリードしている側面が強いので、より多様な意見をとりいれていく必要がある。
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