日本郵便 30分遅刻で減給した契約社員と和解
2014/09/18   労務法務, 労働法全般, その他

事案の概要

神戸市長田区の長田郵便局に勤務する契約社員の男性が日本郵便(東京)に対し、30分の遅刻で給料を減額されたのは不当として、半年にわたる給与減額分の計約24万円の支払いなどを求めた訴訟(神戸地裁)が、日本郵便側が男性に21万5千円を支払う内容で和解したことがわかった(和解は8月26日付)。
平成24年7月、原告男性は、寝坊したため始業5分前に遅刻する旨連絡した。しかし、翌月の人事評価では無届の遅刻があったとみなされ、就業規則に基づき時給1460円から1250円に14%減額された(月収で約4万円減)。

コメント

従業員が所定の労働時間に遅刻した場合(または早退した場合),企業側がそのことを理由に減給することは許されるのか。
賃金は労働の対価なので、労働者(従業員)が労働を提供していない場合には,使用者(企業)は賃金を支払う義務はない。これを労働関係の基本原則「ノーワークノーペイの原則」という。遅刻した場合には、その時間分の労働の提供がないため、企業側はその分の賃料を支払う義務は生じない。したがって、遅刻した分の賃金をカットしたとしても不当なものとはいえない。ただし、就業規則や労働契約において、遅刻の場合にも全額支払う旨の規定がある場合には、遅刻分の賃金カットは許されない。

それでは、制裁として遅刻した時間分を超える賃金のカットは許されるのか。
遅刻した時間分だけでなく、実際に労働の提供がある時間分の賃金をカットする場合には、「ノーワークノーペイの原則」にはあたらず、就業規則の定めが必要であり、労働基準法第91条の問題となる。同条では、減給について次のような制限を規定している。
①1回の額が平均賃金の1日分の半額を超えないこと。
②総額が1賃金支払期における賃金の総額(月収であれば1カ月分の賃金)の10分の1を超えないこと。
例えば、月給30万円の場合、月の総額で3万円までなら就業規則の定めさえあれば許される。
今回の事案においては、就業規則に基づき月収の14%減給となっており、日本郵便の定めていた就業規則が②の項目にひっかかるものと考えられる。就業規則の規定・改定には労働者の合意が必要となり、合意があったとしても労働基準法に定める基準に達しない就業規則を定めた場合には、無効となる(法13条)。
労働者にとって、賃金額は生活に直結し、労働条件の最重要項目の一つであるといえる。自社の就業規則が法に沿ったものであるか今一度点検が必要である。

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