ブラック企業大賞2014の発表にみるブラック企業の在り方
2014/09/10 労務法務, 労働法全般, その他

「ブラック企業大賞」(主催:ブラック企業大賞企画委員会)は9月6日に今年の大賞などの入賞企業を発表した。3度目となる今年は、ヤマダ電機が大賞とWEB投票賞を受賞した。
ヤマダ電機は長時間労働の末に自殺した社員の遺族から安全配慮義務違反があったとして、損害賠償請求を提起されていた。これを機にブラック企業について、改めて考えてみる。
ブラック企業とは
「ブラック企業」について明確な定義はないが、一般的には従業員に対して劣悪な環境での労働を強いる企業をいう。ブラック企業大賞では①労働法やその他の法令に抵触し、またはその可能性があるグレーゾーンな条件での労働を、意図的・恣意的に従業員に強いている企業、②パワーハラスメントなどの暴力的強制を常套手段として従業員に強いる体質を持つ企業や法人(学校法人、社会福祉法人、官公庁や公営企業、医療機関なども含む)と定義している。
ブラック企業の特徴の一つは過酷な長時間労働を強いることにある。長時間労働が行われる原因は様々であるが、「みなし労働時間制」を悪用していることが一つ理由として挙げられる。
みなし労働時間制とは
みなし労働時間制とは、労働基準法において、その日の実際の労働時間にかかわらず、その日はあらかじめ定めていた時間労働したものとみなす制度をいう。事業者にとって労働時間の管理が困難な場合に採用される。
みなし労働時間制には3種類ある。一つは事業場外労働の場合で、管理者のいない所で労働をするために労働時間管理が難しい場合に適用される。二つ目は専門業務型裁量労働制である。特定の裁量の大きい業務についている者に適用される。具体的には、大学の教授、公認会計士、弁護士、記者、コピーライター等が挙げられる。三つ目は企画業務型裁量労働制である。事業運営上の重要な決定が行われる企業の本社などにおいて企画、立案、調査、分析業務を行う者は裁量の幅が大きくなるとして、適用される。厚生労働省の調査によると、約1割程度の企業がみなし労働時間制を採用しており、規模の大きい企業ほど採用している割合が高い。
みなし労働時間制を悪用することによって、労働時間の裁量がないにもかかわらず長時間働かせられることで身体的精神的に追い詰められる点が問題である。具体的には、外回りの多い営業職で事業場外労働制が採用されていたが実際は営業車や商品情報などで労働時間管理が可能であった場合や、研究チームの一員として専門業務型裁量労働制が適用されていたが上司の指示を仰ぐ立場にあり労働時間の裁量がない場合などにみなし労働時間制を適用できず、実労働時間分の給与を支払う必要がある場合がある。労働時間の管理は可能な限り徹底して行われるような制度設計が必要といえる。
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