景品表示法改正案 不当表示に「売上額の3%」の課徴金制度導入へ
2014/08/27 広告法務, 消費者取引関連法務, 景品表示法, その他

事案の概要
消費者庁は2014年8月26日、不当表示を取り締まるため、商品・サービス(商品等)について不当表示を行った事業者に対して、これまでの措置命令に加えて新たに課徴金を賦課することとし、その額を不当表示があった商品等の売上額の3%とする案を内閣府消費者委員会に示した。
同庁は今秋の臨時国会への改正案の提出を目指している。
現行の景品表示法では、事業者は、「優良誤認表示」(実際の商品等より著しく優秀であると示す表示等)や、「有利誤認表示」(価格等について、実際のものより著しく有利であると誤認される表示等)を禁止し(景表法第4条第1号、2号)、違反があった場合、消費者庁は事業者に対して、不当表示により一般消費者に与えた誤認の排除、再発防止策の実施、今後同様の違反行為を行わないことなどを命ずる「措置命令」ができる旨規定されている(景表法第6条)。
今回の改正案で検討されている課徴金制度は、不当表示を行った事業者に対し、上記措置命令に加えて、不当表示を行った商品等の売上額の3%の課徴金による直接の経済的負担を課すことで、不当表示の防止を強化しようとするものである。なお、事業者が違反を自己申告した場合は、課徴金の2分の1が減額され、また、事業者が自ら注意義務を尽くしていたことを証明した場合や、課徴金の額が150万円に満たない場合は賦課されないものとしている。
コメント
不当表示に対して、景表法に基づく措置命令がされた例は多い。2014年7月の例でも、商品等が実際より不当に優れていると表示する「優良誤認表示」の例としては健康食品等を販売する有限会社プライム・ワンに対する措置命令(2014年7月17日)が、商品等の価格について実際のものよりも著しく有利であると誤認させる「有利誤認表示」の例としては、食肉を販売する有限会社ミート伊藤への措置命令(2014年7月24日)が挙げられる。
課徴金制度は違反者に直接の経済的負担を課すことから、これらの不当表示の防止に有効であるとして、以前から採用が検討されていたもので、3月11日に今国会へ提出された景表法改正案においても、課徴金制度については改正法律施行後1年以内に検討し必要な措置を講じることとされていた。
今回、課徴金の具体案が示されたことで、課徴金制度の採用へ向けた動きが確かなものになったと言える。
事業者に過失がない場合にも行われる措置命令と異なり、課徴金は事業者が注意義務を尽くしている場合は賦課されない。事業者は、商品等の内容を忠実に反映させ、不当表示に当たらないよう表示を慎重に決定することはもちろん、注意義務を尽くしたことを証明する必要が生じたときに備え、決定過程を証拠として保存できる社内ルールの構築をすることが求められる。
関連リンク
「景品表示法における課徴金制度導入に関する御意見募集」(消費者庁、pdf)
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