若年層へのNISA普及なるか 金融庁、子供版NISA創設へ
2014/08/22   金融法務, 民法・商法, 金融・証券・保険

事案の概要

平成26年1月1日から始まった少額投資非課税制度(NISA)とは、株や投資信託(投信)などの運用益や配当金を非課税にする制度である。導入の目的の一つは、高齢者に偏っている個人投資家の裾野を若年層や初心者にも広げて株式市場を活性化するとともに、若者の長期の資産形成を後押しすることであった。しかし、利用の大半は60歳以上が占めており、狙いが外れた形となっている。そこで、様々な若年層への普及策が考えられている。

金融庁は、平成27年度税制改正要望で、NISAを拡充し、親や祖父母が子供や孫名義の口座で投資する「子供版」の創設を盛り込む方針を固めた。子供を持つ親世代の投資を促すと共に、将来の有力な顧客となるよう子供の資産形成を図る狙いだ。子供版の名義人の対象年齢は0歳から18歳までとし、非課税枠は現行が年間100万円なのに対し80万円とし、18歳になるまでは災害や両親の不慮の事故による生活の困窮等の場合は例外として原則引き出せないよう制限をかける見通しである。そして、通常のNISAについては、対象年齢を現行の「20歳以上」から「18歳以上」に引き下げ、非課税枠を年100万円から120万円に拡大する案も出ている。子供版創設など制度拡充の時期は遅くとも28年1月を目指しており、年末の与党の議論で詳細を詰める。

また、NISAの普及を目指し、将来の有力な顧客となる若年層の金融知識を強化する取り組みが進んでいる。証券界は、投資の初心者や予備軍を今から囲い込もうと、文部科学省と連携した土曜日の課外授業や、アニメキャラクターを起用したキャンペーンなど進めている。日本証券業協会は、文科省が全国の小中学校で実施している土曜学習を活用する方針を決め、学校側からの要請を受けて、協会の職員や全国の証券会社の支店などの社員を講師として派遣する。日証協会長の稲野和利氏は、協会が目指すNISAの対象年齢の引き下げと合わせ「若い人たちの金融知識を向上させたい」と意気込む。野村証券は、アニメ・ゲーム製作のディー・エル・イーと共同で、NISAの仕組みを分かりやすく説明する専用HP「NISAの村」を開設した。人気アニメキャラ「鷹の爪団」と女優の川島海荷さんが登場するアニメを通じ、投資を農業に例えて活用のコツを伝授する内容だ。担当チームは「少しでも多くの若い方にNISAを知り、使ってもらいたい」としている。SMBC日興証券も、東京証券取引所と共同で、小学校高学年向けの親子イベントを今月開く。サンリオのキャラクター「ポムポムプリン」とともに、株式市場などの仕組みを分かりやすく説明する予定だ。

コメント

若者の長期資産形成の後押しというNISA導入の目的に反して、口座開設者のうち約6割は60歳以上となっており、実際の投資総額に占める60歳以上の割合も65%に上り、30代は6.5%、20代は2.0%に過ぎない。この原因としては、現在の日本では中高年層と若年層の経済格差があまりにも大きくなっているという構造的な問題がある。例えば50歳代の平均賃金が月額40万円なのに対し、20代では20万円と半分以下になっている。しかも若年層ではそもそも仕事に就けない人も多く、そういった人たちにとっては投資に関心を持つことはできないであろう。

一方で、公的年金の存続性に対する不安や企業年金の確定拠出年金化などが話題になる昨今、若年層が自分で資産形成をする必要性は高い。今回、子供版NISAの創設により、中高年層に偏る金融資産を若年層に移転させ、中高年層と若年層の経済格差を埋めることができるかが焦点である。若年層へ金融資産が移転し、他のNISA普及策と相俟ってそのまま大人版NISAの利用が増えれば、それに伴う投資の成功例も増えてNISAへの関心が高まり、利用がさらに拡充すると考えられる。

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