【中小企業庁】吉野家、店舗家賃を減額し措置命令
2014/08/21 税務法務, 租税法, 税法, その他

事実の概要
平成26年8月20日中小企業庁が、吉野家グループが支払う店舗の賃借料に関して調査を行った結果、消費税転嫁対策特別措置法第3条第1号の規定に違反する行為が認められたため、同法第5条に基づき、公正取引委員会に対して適当な措置をとるべきことを請求した。
吉野家グループは、店舗所有者(賃貸人)の一部に対して、平成26年4月分及び5月分の賃借料につき消費税率引上げ分を上乗せして支払った後に、同年6月分の賃借料から消費税率引上げ分を減額し、以後の賃借料も消費税率引上げ分を上乗せしない旨を通知した。
当該行為は、消費税転嫁対策特別措置法第3条第1号の規定に違反する行為(減額及び買いたたき)であり、多数の店舗所有者(賃貸人)に対して減額及び買いたたきがなされていたことが認められた。そのため中小企業庁は措置命令につき権限を有している公正取引委員会に対し請求した。
消費税転嫁対策特別措置法とは
消費税転嫁対策特別措置法の目的は、消費税の円滑かつ適正な転嫁を確保し、大規模小売事業者等の特定事業者(買い手)による消費税の転嫁拒否等を防止することである。
具体的には特定供給事業者(売り手)に対する減額や買いたたき、報復行為等が禁止される。
「減額」とは消費税分を支払わないこと、売り手と本体価格に消費税分を上乗せする契約をしていたのに実際に支払う段階になって消費税分を下げることである。
「買いたたき」とは、原材料費は変わらないのに、新しい税率の消費税分を上乗せした税込価格よりも低い税込価格を売り手に対して指定することである。
コメント
消費税増税により企業によってはコストの増加につながったところもあるだろう。しかし、コストを減らすために減額、買いたたきをすることは特定供給事業者(売り手)に増税分を転嫁するものであり損失の押し付け合いとして経済活動を害する。
また、特定事業者(買い手)が転嫁拒否等の行為を行った場合、指導・助言、勧告・公表等の取締りが行われる。これにより特定事業者の違反行為が公表されれば、企業イメージ・信用が著しく失われることにもなる。
消費税は国民生活にとって身近な税の一つであるからこそ消費税増加には注目が集まる。そのため企業は消費税増税につき法に基づき適切な対応をすることが求められる。
参考資料
中小企業庁参考資料
中小企業庁消費税転嫁対策特別措置法について
消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法
消費税の転嫁対策特別措置法 5つのポイント
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