最低賃金の引き上げにより「逆転現象」解消へ
2014/07/30 労務法務, 労働法全般, その他

今回の決定
厚生労働省の中央最低賃金審議会の小委員会は29日、最低賃金の時給を全国平均で16円引き上げて780円とする答申を決定した。この答申をもとに各都道府県の最低賃金審議会が審議を行い具体的な額を決定する。秋頃に今回の決定に沿った引き上げが行われると思われる。
最低賃金
働く際に雇用者が労働者に払わなくてはならない時間当たりの最低の賃金。都道府県ごとに決められている。現時点での最低は沖縄など9県の664円であり、最高は東京都の869円である。
最低賃金でフルタイムで働いたにもかかわらず、得られる賃金が生活保護を受けた際に支給される額を下回ることを「逆転現象」という。広島、東京、北海道など5都道県で発生していた。
コメント
「逆転現象」が発生すると最低賃金で働くことより働かずに生活保護をもらう方が多くのお金を得られるため、労働者の不公平感が強く働く意欲が低下する。また生活保護は憲法25条1項の「最低限度の生活」を維持するために支給されているとされ、これを下回ることはフルタイムで働いても最低限度の生活を維持できないことを意味する。
これを解消する方法としては生活保護の支給額の引き下げと最低賃金の引き上げの2つの方法があった。
今年4月から施行された消費税増税やインフレにより物価高が進んでおり、生活保護費の引き下げを行うと生活保護受給者が最低限度の生活水準を維持できない恐れがある。それを考えれば最低賃金の引き上げという方法で解消を目指したことは妥当と思われる。
毎年この時期に最低賃金の額が厚生労働省の中央最低賃金審議会で決定され、ここ数年は増額が続いている。もっとも中小企業の中には業績改善が遅れている企業もあり、今後の引き上げは中小企業の財務状況を考慮しながら判断する必要がある。
関連コンテンツ
新着情報
- 弁護士
- 原内 直哉弁護士
- インテンス法律事務所
- 〒162-0814
東京都新宿区新小川町4番7号アオヤギビル3階

- ニュース
- 最高裁、父親の性的虐待で賠償認めず、民法の除斥期間とは2025.4.23
- 子どもの頃に性的虐待を受けたとして40代の女性が父親に損害賠償を求めていた訴訟で16日、最高裁...
- 弁護士
- 大谷 拓己弁護士
- 弁護士法人 咲くやこの花法律事務所
- 〒550-0011
大阪府大阪市西区阿波座1丁目6−1 JMFビル西本町01 9階

- 業務効率化
- Legaledge公式資料ダウンロード

- 業務効率化
- 鈴与の契約書管理 公式資料ダウンロード

- 解説動画
斎藤 誠(三井住友信託銀行株式会社 ガバナンスコンサルティング部 部長(法務管掌))
斉藤 航(株式会社ブイキューブ バーチャル株主総会プロダクトマーケティングマネージャー)
- 【オンライン】電子提供制度下の株主総会振返りとバーチャル株主総会の挑戦 ~インタラクティブなバーチャル株主総会とは~
- 終了
- 視聴時間1時間8分

- 解説動画
江嵜 宗利弁護士
- 【無料】新たなステージに入ったNFTビジネス ~Web3.0の最新動向と法的論点の解説~
- 終了
- 視聴時間1時間15分

- セミナー
内田 博基 氏(三菱UFJ信託銀行株式会社 執行役員 法務部長 ニューヨーク州弁護士)
藤原 総一郎 氏(長島・大野・常松法律事務所 マネージング・パートナー)
板谷 隆平(MNTSQ株式会社 代表取締役/ 長島・大野・常松法律事務所 弁護士)
- 【3/19まで配信中】CORE 8 による法務部門の革新:三菱UFJ信託銀行に学ぶ 企業内弁護士の力を最大限に活かす組織作りの秘訣
- 終了
- 2025/03/19
- 23:59~23:59

- まとめ
- 改正障害者差別解消法が施行、事業者に合理的配慮の提供義務2024.4.3
- 障害者差別解消法が改正され、4月1日に施行されました。これにより、事業者による障害のある人への...