従業員のメンタルヘルス対策
2014/07/29 労務法務, 労働法全般, その他

7月27日に発表されたOECD(経済協力開発機構)の報告によると、日本では精神病を原因とする自殺率が他のOECD諸国に比べて依然として高いことが明らかとなった。OECD諸国の自殺率は10万人当たり12.4人であるのに対して、日本は20.9人となっているのである。2000年から2011年の間に6.3%減少したとはいえ、これは他国に比べてかなり高い数字といえる。OECDは日本の総合医療制度の不備を指摘するが、ここではあえて労働者と精神病について考える。
日本企業における精神病の現状
企業における二大精神疾患はうつ病と適応傷害といわれている。2011年の調査では、メンタルヘルスの不調が原因で休職・退職した労働者がいる企業は25.8%にものぼる。労災申請・認定件数も増加しており、2007年度以降は精神障害の労災申請件数が脳・心臓疾患の労災申請を上回っているのである。
企業の取り得る対策
国は企業にメンタルヘルス対策を進めるよう促しており、具体的にはメンタルヘルスケアに取り組んでいる企業の割合を80%以上とすることを目標としているが、47.2%の企業がメンタルヘルス対策に取り組んでいるのが現状である。
精神病の罹患による所得の減少・失業給付医療給付による社会的損失は2兆6782億円にものぼるとされており、企業にとってもメンタルに問題がある従業員を抱えることは人材を失う点で大きな損失に繋がるといえる。
長時間労働や責任の重い仕事によってうつ病等の精神病にかかり自殺した場合に過労と自殺の間に因果関係が認めたケースがあり(2000年3月24日最高裁第2小法廷判決)、精神病が労災となり得ることは周知の事実となっている。さらに、上記の事例では本人の真面目な性格や家族の対応についても通常の範囲内であるなら、うつ病の原因の一つとはいえないと判断された。そのため、ますます企業による従業員のメンタルヘルス対策が重要となっているといえる。メンタルヘルス対策は予防とともに病気の早期発見が重要である。企業としては健康診断の徹底とともに、産業医等による職場環境の評価や上司を含めた従業員全員の精神病に対する理解の浸透によって従業員が仕事上のストレスを早期に報告できる職場環境を整えることが必要であるといえる。
関連コンテンツ
新着情報

- 解説動画
江嵜 宗利弁護士
- 【無料】新たなステージに入ったNFTビジネス ~Web3.0の最新動向と法的論点の解説~
- 終了
- 視聴時間1時間15分
- 弁護士
- 福丸 智温弁護士
- 弁護士法人かなめ
- 〒530-0047
大阪府大阪市北区西天満4丁目1−15 西天満内藤ビル 602号

- 業務効率化
- LAWGUE公式資料ダウンロード
- 弁護士
- 目瀬 健太弁護士
- 弁護士法人かなめ
- 〒530-0047
大阪府大阪市北区西天満4丁目1−15 西天満内藤ビル 602号

- 業務効率化
- Mercator® by Citco公式資料ダウンロード

- ニュース
- ミュゼプラチナムが株主総会決議で決定、解散・清算について2025.6.11
- 給与未払いなどが問題となっている脱毛サロン大手「ミュゼプラチナム」が、株主総会決議によって解散...

- 解説動画
斎藤 誠(三井住友信託銀行株式会社 ガバナンスコンサルティング部 部長(法務管掌))
斉藤 航(株式会社ブイキューブ バーチャル株主総会プロダクトマーケティングマネージャー)
- 【オンライン】電子提供制度下の株主総会振返りとバーチャル株主総会の挑戦 ~インタラクティブなバーチャル株主総会とは~
- 終了
- 視聴時間1時間8分

- まとめ
- 株主提案の手続きと対応 まとめ2024.4.10
- 今年もまもなく定時株主総会の季節がやってきます。多くの企業にとってこの定時株主総会を問題無く無...
- セミナー
熊谷 直弥 弁護士(弁護士法人GVA法律事務所 パートナー/第一東京弁護士会所属)
- 【オンライン】2025年春・Web3/暗号資産の法令改正動向まとめ
- 終了
- 2025/04/23
- 12:00~13:00